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田中知子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

幼稚園児・保育園児におすすめ!出張コンサートで味わう非日常な体験

田中知子

田中知子

幼児の成長と音楽を取り巻く環境

人間の脳の仕組みや神経回路、基本的な能力は6才で90%出来上がると言われております。
ということは、幼稚園・保育園での生活が1人1人の子どもの成長に大きな影響を与えることとなるのです。幼児期にどのような良い刺激を受けて育つかにより、子どもは無限に成長することができます。そのため、大人には、きちんとした教育をする必要があると考えております。

「スキャモンの発達・発育曲線」
スキャモンの発達・発育曲線
私は出張コンサートや音楽指導を通して多くの園に出入りさせていただいております。
工作やお絵かきなどはもちろん、稲や野菜を育てて有難くいただく「食育」、オリンピックにちなみ世界の国々の特徴を理解する取り組み、日本の文化である「座禅」、強い体や瞬発力・体幹を鍛えるための「運動」、歌ったり、楽器を使って音感を育てる「音楽」、読み書き計算の「学習」、外国人講師を招いての「英語」など、どの園も工夫を凝らし、さまざまな取り組みをされております。
展示物や園の設備を拝見すると、園が力を入れている取り組みがよくわかります。その1つ1つが子どもにとって大切な刺激であり、近い将来へ道を拓き、長い成長の種となっていると感じます。

どの分野でも指導は難しいと感じるのですが、私が仕事としている音楽、出張コンサートについて述べてみたいと思います。
未就学の幼児は、年齢制限により、なかなかコンサートに足を運ぶことができません。
また、幼児が入れるコンサートでも、出かけるまでの準備や子供を連れての移動など、コンサートホールに到着するまでに大人が疲れ切ってしまうこともあるかと思います。
私自身、4人の子供を育てている中では、精神的余裕も無く、コンサートに連れて行く、という気持ちも起きませんでした。しかし、心の中には良い音楽を沢山聴かせてあげたい、生の音を感じて欲しい、という思いは常に持っておりました。
このような状況で唯一できたことは、自身で弾いて聴かせたり、CDやラジオを通して幅広いジャンルの音楽を聴かせることでした。

このような家庭での小さな行動が現在の出張コンサートという活動に繋がっているのですが、情操教育に良い、とされている『生の音楽』を移動せず、幼児の生活の場で体感できること、音楽を聴くことを教育の一環として考えていただくこと、を提案しております。

出張コンサート内での取り組み

1つの例として、『コンサートごっこ』を挙げてみましょう。
クラッシックコンサートには、お洒落をして出かける方が多いと思います。このような感覚から、保育士の先生方は正装、園児さんも強制ではありませんがご家庭に協力していただき、素敵なワンピースやドレス、タキシードなど、お洒落をして気分を盛り上げ、非日常空間を醸し出していただきます。
コンサート前の館内放送では「開演に先立ちまして…、」とアナウンスが始まり、「携帯電話の電源をお切りください。演奏中の出入りはご遠慮ください。」など、本場さながらの演出がなされます。
もちろん、皆さん携帯電話は持っていませんが、上手に雰囲気作りをしてくださいます。
そして、開演に間に合うよう、それぞれのクラスから小さなお子様たちの移動が始まります。移動はもちろん園内です。着席して、開演アナウンス、そして私たち奏者にバトンが受け渡されるのです。
  
コンサートと言いましても、幼児の場合、目が8割、耳が2割と感じております。
ですので、私たち奏者はもちろん正装です。楽器やジャンルによりスタイルは変わりますが、お客様の目に訴えられるよう、本格的な華やかな衣装を身に着けます。登場した時に子どもがワクワクする気持ちを大切にしたいと考えております。
素敵な衣装を身に着けた奏者を前にした時の園児さんの目の輝き、この瞬間、私たちのスイッチは完全にONとなります。それだけ、目からの印象が強いことを思い知らされます。
ハープ・フルートコンサート
コンサートは対話形式で行っており、楽器や曲の解説にクイズを混ぜたり、楽器体験が可能な楽器もあります。クイズ形式にすることにより、子ども自身が積極的になり、より楽器や音楽に興味を持つようになります。皆の前でマイクを持って発言する、という学習にも繋がります。
コンサート 楽器体験
幅広いジャンルの曲を聴いて沢山の刺激を受けてほしい、という思いから、演奏ジャンルは、クラッシックはもちろん、ディズニー・ジブリなどのアニメ、童謡唱歌、ポップス、園にゆかりのある楽曲、一緒に歌える曲、などいろいろな種類を混ぜ45分のプログラムでお楽しみいただきます。
クリスマスコンサート
知っている曲が流れると、自然に体でリズムを取り、お友達と顔を見合わせ頷きあったり、時には面白い音楽で笑ったりしながら、音楽を通して穏やかで和やかな時間が流れます。曲が終わると一生懸命拍手で感謝を伝えることも学びます。

そして、締めくくりは『アンコール』。事前に打合せをしてのアンコールですが、幼児の皆さんにとっては初めての体験となります。どのタイミングで拍手をするのか、「アンコール」と言うのか、など一瞬の緊張が走ります。「アンコール」という言葉も覚えます。

無事にコンサートが終わると、質問コーナーや一緒に写真撮影などを行い、退館アナウンスが流れます。私たちは園のお給食の妨げにならないよう退室しております。

これは、あくまで一例ですが、サマーコンサート、クリスマスコンサート、ニューイヤーコンサート、春のお別れコンサートなど、さまざまな企画でコンサートを取り上げていただいております。
毎年開催してくださる園も多くございますが、リピート理由に、毎年違う楽器(ピアノ、ヴァイオリン、フルート、声楽、木管三重奏、ハープ、マリンバ、サックス、パーカッションなど)を楽しめること、0・1・2歳のお子様は様子を見ながら途中退出できるよう、出入口の近くにカーペットを敷く、近隣在住の親子の参加可能、など、子供への配慮などが挙げられると思います。私自身が4人の子育てを経験しているので、話がしやすいことも理由の1つと考えております。
マリンバ・パーカッションコンサート

コンサート後の子供たちの変化

そして、このコンサートを見ての子どもたちの変化ですが、ピアノやヴァイオリンを習い始めました、という声をよく耳にします。ほんのひと時でも「言葉遣いが美しくなった」という声も寄せられます。ピアノのコンクールに出たいので練習頑張る、などの目標設定ができたことも変化の1つだと思います。

パーカッションの動きを見て、奏者のマネを上手に見せてくれたり、以前に比べ音楽に合わせ全身で楽しさを表現できるようになったり、奏者のマネをしてお辞儀が上手になったり、その後のお絵描きで一生懸命コンサートの様子を書いてくれた様子から情操教育の1つとしての成功を感じます。

先生方の感想

先生方からの声には、非日常を味わうことができました、間近で楽器を見る機会が無かったので勉強になりました、昔吹奏楽で吹いていたフルートを再開しました、生の音楽を聴いて心が洗われました、毎年コンサートを開いているので子どもの演奏中のマナーなどが自然と身についてきました、など数多くの感想を寄せていただいており、次回聴きたい曲のリクエストもお伝えいただいております。

まとめ

先生と生徒が同じ空間で同じ立場に居る、ということも非日常と言えるのでしょう。
子どもは先生たちが熱心に聞き入っている姿のマネをして、自然に目から耳へ、そして全身で音楽を受け止めてくれるようになります。音楽には『同調効果』があり、元気な時には明るく活発な曲、悲しく落ち込んでいる時などは静かで落ち着いた暗い曲など、気持ちに寄り添った曲を聴くことにより、癒し効果を得られることがわかっています。出張コンサートでは多くのジャンルの曲を取り上げておりますので、その中の1曲でもお客様の心に響いたなら、奏者一同大変嬉しく思う瞬間でもあります。

普段生活している保育園・幼稚園で『非日常な体験』を味わうことができる『出張コンサート』は、大人と子ども、双方の心を豊かにし、忙しい保育の中の、ほんのひと時でも穏やかで心豊かな時間を創り出すことができる、有意義で必要のある取り組みの1つだと考えております。

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田中知子
専門家

田中知子(ピアニスト)

メロディアピアノスタジオ/メロディア音楽教室

子どもから社会人、シニアまで幅広い年齢層向けのコンサートやパーティーで演奏するピアニストとして活動するほか、個人ピアノレッスンや幼児教育、保育士研修など、音楽指導者としても多方面で活躍。

田中知子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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