「生き物相手」はマニュアル化できない?飼育現場の安全と効率を支える『業務フロー図』の作り方と期待される効果
- 作業中の呼び出し
- 別作業への急な対応
- 作業工程の中断と再開
といった「日常的な中断と再開」が頻繁に発生します。
一見すると些細な出来事ですが、この“中断”こそが重大事故の引き金になります。
例えば――
- 鍵の閉め忘れ
- 施錠確認の抜け
- 個体収容ミス
- 同居禁止個体の誤収容
これらが重なれば、
- 動物の脱柵
- バックヤード侵入
- 飼育員への襲撃
といった深刻な事態へ発展します。中型動物であっても人の喉部咬傷は致命傷になり得ます。ライオン等の猛獣であれば、その影響は言うまでもありません。
問題は、「注意力が足りないこと」ではありません。問題は、ヒューマンエラーが起きる前提で業務が設計されていない構造にあります。
動物飼育施設、特に動物園という仕事の特殊性
私は、動物園の飼育業務を
- 「原子力プラント運転員」
- 「消防レスキュー」
- 「接客業」
を同時に行う仕事だと捉えています。高リスク産業であるにもかかわらず、安全管理やヒューマンエラー対策は他業界と比べて体系化が遅れているのが現状です。
現場分析を行うと、多くの園で次のような状況が見られます。
- 単独作業の常態化
- 相互確認の未実施
- 視認性や照度など設備面の不備
- 手順書が活用されず記憶依存の作業
- 担当者交代が多く教育体系が未整備
- イレギュラー対応が属人的
これらはどこの動物園でも一般的に見られる事項です。しかしそれは同時に、「いつ事故が起きてもおかしくない業務構造を内包している」状態であることを意味します。
私が提供できる安全管理対策の1例
私は、獣医師としての安全・衛生管理の視点と、組織運営の視点を組み合わせ、「ヒューマンエラーが起きる前提」で設計する安全体制づくりを支援しています。
前回の記事では「業務フロー図を作ることで業務を可視化し、属人化した業務の安全対策を改善する」というテーマの記事を書きました。
今回は以下の対策を提案します。
作業中断・イレギュラー対応訓練の導入
目的
日常的に発生する作業中断や突発事態に対し、判断を“反射化”させる訓練をします。「考える時間がない場面」で安全行動を取れる状態を作ります。
訓練内容(例)
実作業を想定し、意図的に中断・異常事態を組み込みます。
- 作業中に無線で呼び出し → 別作業対応 → 元作業へ復帰
- 動物の突発的な争いを想定し、分離・安定化後に復帰
- 誤収容個体の分離訓練
- 展示場に動物が残っていた場合の緊急退避
- キーパー通路死角への動物逸走発見時の対応訓練
毎回シナリオを変更し、マンネリ化を防ぎます。
期待できる効果
- 非定常時でも安全行動が取れる
- 判断速度が向上する
- 組織内での安全文化が形成される
- 属人性が低減する
- 重大事故リスクが構造的に低下する
事故は「たまたま」ではありません。事故は「業務構造」から生まれる可能性があります。
事故は経営問題である
脱柵や人身事故が発生した場合、
- 職員の重大被害
- 動物の逸走
- 長期休園
- 社会的信用の失墜
- 経営への深刻な打撃
へと連鎖します。これは現場の問題ではなく、経営リスクそのものです。
私は、獣医学的知見・現場経験・組織設計の視点を融合し、動物園の安全管理を“個人依存型”から“業務構造型”へ転換するサポートを行っています。
もし、
- 事故のリスクを低減したい
- 属人化を減らしたい
- 若手でも安全に動ける組織にしたい
- 経営として安全を強化したい
とお考えでしたら、ご相談ください。「起きてから対応する」のではなく、起きない構造をつくる。それが私がサポートできることになります。




