頑張るほど疲弊する組織を「動く組織」へ。ボトルネックを特定し、仕事の流れを再定義する。【後編】
はじめに:なぜ、動物飼育に業務フローが必要なのか
「業務フロー図」と聞くと、製造業などの工場を思い浮かべる方が多いかもしれません。工程のヌケモレを防ぎ、ボトルネックを特定して効率化を図るツールとして、多くの企業で導入されています。
一方で、動物飼育の現場ではどうでしょうか。「相手は生き物。予期せぬ行動もするし、季節や体調で動きも変わる。定型化なんて無理だ」と、導入を見送るケースがほとんどではないでしょうか。
しかし、私はあえて提案したいのです。「変化が多く、一瞬の油断が事故につながる現場だからこそ、業務フロー図が大きな力を発揮する」ということを。
「口頭説明」と「文章マニュアル」の限界
通常、飼育現場の教育は「先輩からのOJT(口頭説明)」がメイン。しっかりした施設でも、箇条書きの手順書がある程度ではないでしょうか。ここには、実は2つの大きなリスクが潜んでいます。
・イメージの相違: 初心者にとって、口頭や文字だけの情報はイメージが湧きにくく、実際の動きに反映しづらい。
・責任の所在が不明確: 万が一事故が起きた際、明確な手順書がないと「何が正解だったのか」が分からず、適切な振り返りや指導ができません。
実践例:中型動物舎の「収容時フロー」を作ってみました
今回、実際に作成した業務フロー図(一部)をご紹介します。ここでは「動物を寝室へ収容し、展示場を清掃する」という一連の流れを可視化しました。
1. 「扉・鍵の開閉」をセンターに配置して安全を担保
このフロー図の最大の特徴は、「扉/鍵の開閉作業」を専用の列として独立させている点です。 飼育員が行う「入室・給餌・清掃」という一連の動作に対し、どのタイミングで「開錠」し、どのタイミングで「施錠」すべきかを横並びで示しています。これにより、最も事故が起きやすい「鍵の閉め忘れ」を視覚的に防ぐことができます。
2. 複数の個体への同時アプローチを整理
動物A〜Dまで、複数の個体を並行して管理する場合も、図解なら一目瞭然です。「全員に餌を与えたか?」「全員のシュート(通路)を閉めたか?」という、頭の中だけでは混同しがちな進捗状況がクリアになります。
3. 「中断」からの復帰を確実に
作業中に動物が予想外の動きをしたり、来園者への対応が必要になったりと、作業が中断されるのは日常茶飯事です。 パウチしたフロー図にチェックを入れながら進めることで、「どこまでやったっけ?」と混乱することなく、いつでも正確な地点から再開できます。
おわりに:まずは一歩、書き出してみませんか?
「定型化できない」と諦める前に、まずは現在のルーティンを可視化してみる。それだけで、現場のストレスや「ヒヤリハット」は劇的に減らせるはずです。
図の下部には「特別な手順を要する作業」のメモ欄を設けるなど、その日の個体のコンディションに合わせた柔軟な運用も可能です。
もし「自分の担当動物ならどう書けばいいの?」「コツが知りたい」という方がいれば、ぜひお気軽にご連絡ください。また、現場作業が忙しくこのような作業をする時間がないという方も多いはずです。あなたの現場に最適なフロー図作成をサポートします!



