自院の経営状態に不安がある方必見!動物病院業界の財務指標(前編)

木戸伸英

木戸伸英



業種別審査事典という本があるのはご存知でしょうか。今日はその中から、動物病院業界の財務指標について簡単にご紹介したいと思います(出典:第15次業種別審査事典)。データは2022年の動物病院806件の平均になります。動物病院の経営に不安がある方にとって、自院の経営状態を考える1つの指標になると思いますので、是非参考になさってみてください。

貸借対照表

単位:千円全企業黒字企業   全企業黒字企業
流動資産39,91949,386流動負債16,57918,511
固定資産53,10162,527固定負債34,83337,538
         純資産41,69455,973
総資産93,108112,022         


動物病院業界は当期純利益が確保できているため純資産は増加傾向であり、企業数や平均従業員数も増加しているのが特徴です。

損益計算書

単位:千円全企業黒字企業
売上高102,163119,619
売上原価28,21732,623
売上総利益73,94586,995
販売費・一般管理費68,48778,072
営業利益5,4578,922
経常利益6,56710,169
税引前当期純利益6,11710,157


売上高も基本的には増加傾向にあるようですので、業界全体としては成長が堅調に推移していると考えて良さそうです。

代表的な経営分析指標

B/SやP/Lは病院の規模によって値が大きく変わります。そこで、代表的な経営分析指標を見てみます。これらの値は規模による影響をそれほど大きく受けませんので、病院の経営状態を評価する良い指標になると思います。

   全企業黒字企業
総資本営業利益率(%)5.98.0
売上高営業利益率(%)5.37.5
総資本回転率(回)1.11.1
1人当たり売上高(千円)11,69712,201
自己資本比率(%)44.850.0
流動比率(%)197.0222.0
損益分岐点売上高(千円)93,259105,828


売上高営業利益率などは経営状態を簡便に評価する良い指標になると思いますので、ご参考になさってください。また、動物病院業界の特徴として、設備投資負担が大きくなりやすい傾向があり、過剰投資に注意が必要です。経営体力や収益力に見合う投資かどうか見極めることが重要です。

第15次業種別審査事典に記載されている動物病院の経営改善のポイントとしては
①情報発信
②M&A
③SDGs
④DX
が記載されています。どの業界にも共通するポイントだとは思いますが、当たり前のことを確実に実行していくことがとても大事なことなのだろうと、改めて思いました。

次回は、代表的な経営分析指標の解釈の仕方について解説します。次回もどうぞよろしくお願いします。

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木戸伸英
専門家

木戸伸英(獣医師・中小企業診断士)

獣医師と中小企業診断士の専門知識を生かし、動物関連事業者の経営課題に応じたコンサルティングを提供します。動物園での約17年の現場経験から、ヒューマンエラー対策研修や事業者向けの往診サービスにも対応。

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