「経験に基づく」ハローワークに行きそうになった時に誤解しないためのポイント(その2)

木戸伸英

木戸伸英


— 実体験から学んだ「失業給付と手続きのコツ」 —
こんにちは。前回に続き、私自身の経験をもとにハローワークに関する気をつけたいポイントをお伝えします。



1.失業給付を受けながら働けるのか
まず大事なポイントのひとつ目は、“失業給付の受給期間だからといって完全に働けないわけではない”ということです。私も最初は「受給期間中はアルバイトすら一切できない」と誤解していましたが、実際には週の労働時間が原則20時間未満であれば就労は可能です。ただし注意点があります。就労した日は、その日分の失業給付が日割りで減額・不支給になるため、働く日と休む日を含めた収入の合計で不利益にならないかを事前に計算しておく必要があります。

私の場合、動物専門学校で非常勤講師をしていましたが、週20時間未満に収まる働き方だったため、非常勤講師のある日は日割りで給付が減るものの、それ以外の日は失業給付を受けられ、トータルで助かった経験があります。就労する際は必ずハローワークに申告し、支給の調整ルールを確認してください。

2.雇用保険の未加入が後から発覚した場合の対応
雇用保険の未加入が後から発覚した場合の対応です。私の場合、退職後にハローワークを訪問して初めて自分が雇用保険に加入されていなかったことを知りました。法的には雇用保険への加入は事業主の義務であり、未加入は違法ですが、現実には未加入のままで放置されるケースが稀にあります。

幸いにも、ハローワークに相談すると事実確認が行われ、必要に応じて事業主に対してさかのぼって保険料を納めるよう求める手続きが進められます。これにより、過去の被保険期間が遡及され、受給資格が認められることがあります。併せて「年金定期便」や過去の給与明細を普段から確認・保管しておくことを強くおすすめします。もし会社が倒産しているなど、事業主に請求できない事情がある場合は、手続きが複雑になるため早めにハローワークや年金事務所に相談してください。

3.給与未払いがある場合の「離職の扱い」
最後に、給与未払いがある場合の「離職の扱い」についてです。給与の未払いが続くと、従業員が自ら退職する場合でも「会社都合退職」と同様の扱いが認められることがあります。一般的には未払い給与が一定期間(2か月)継続しているなどの事情があれば、ハローワークで事実確認のうえ会社都合扱いとなるケースがあるため、未払いがあると感じたら証拠となる給与明細や振込記録を保存し、ハローワークや労働基準監督署に相談することが重要です。会社都合と認められると、失業給付の受給開始が早くなったり、国民健康保険の軽減措置が受けられる可能性があるなど、経済的な負担が軽くなる点が大きなメリットです。

まとめると、失業給付と就労の関係、雇用保険未加入や給与未払いの発覚時の対応は、いずれも「早めに確認・相談する」ことで被害や不利益を小さくできます。特に、書類の保管(給与明細、雇用契約書、振込履歴など)を日頃から行っておくことも、後々大きな助けになります。

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木戸伸英
専門家

木戸伸英(獣医師・中小企業診断士)

獣医師と中小企業診断士の専門知識を生かし、動物関連事業者の経営課題に応じたコンサルティングを提供します。動物園での約17年の現場経験から、ヒューマンエラー対策研修や事業者向けの往診サービスにも対応。

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