外壁にクラックができる理由と対処方法
窯業系や金属系、木質系などサイディングボードを紹介するとともに、これら外壁材の「張替え」や「カバー工法」について見てみましょう。
サイディングボードの種類
塗り替えリフォーム専門店アイビーリフォーム代表親方の小口哲司です。
外壁のメンテナンスには塗装のほかにサイディングボードの「張替え」や「カバー工法」があります。その方法やメリットをお話ししたいと思いますが、まず、サイディングボードの種類について見ておきましょう。
皆さんがよく目にされるのは窯業系サイディングでしょう。セメントと繊維系の原料を主原料とし、工場で薄いボード状に形成したものです。耐震性、防火性に優れ、デザインも豊富なことから外壁材の主流になっています。施工のしやすさ、工期の短さも人気がある理由です。
そして、金属系サイディング。軽さ、丈夫さが大きな特徴です。断熱材で裏打ちしてあるため高い断熱性能を持っています。また、耐火性も優れていますし、金属ならではのシャープな印象が人気を集めています。
ただ、海沿いの地域では潮風の影響で傷みやすい点で注意が必要になります。
木質系サイディングは、木材が持つ自然な風合いが魅力です。機能面でも木材は熱を吸収しにくく、そのため、木質系サイディングは断熱性が高いという特徴があります。
その一方、腐食などの心配がありますから、一定のタイミングで塗装メンテナンスが必要です。
一般的にはまだあまり知られていませんが、サイディングには樹脂サイディングもあります。塩化ビニル樹脂を使用しているため、水や湿気に強く、錆や腐食の心配もありません。色褪せや変色も少なく、熱伝導率も低い機能的な外壁材です。
樹脂系サイディングの施工例は戸建て住宅全体の5%未満と言われますが、その大きな理由は、日本での施工実績が少なく十分な検証が得られていないことにあります。しかし、アメリカ、とくに北米では70%のシェアを持っています。
張替えのメリットとデメリット
サイディングボードの「張替え」について見てみましょう。
張替えとは、古い外壁と下地を取り払い、新たにサイディングボードを張る外壁リフォームです。サイディングボードを一新するわけですから、家の印象がすっかり変わり、多くの方が「まるで新築の家のように甦った」という印象を持たれます。
しかし、外観の印象はもちろんですが、張替えで重要な点は、外壁の下地部分からメンテナンスができることです。
雨漏りなどで生じた家の構造材の補修もできますし、断熱材を交換して断熱性を高めたり、防音性を高めることもできます。この点は張替えの大きなメリットです。
サイディングボード張替えのデメリットとしては、既存外壁の解体・撤去の必要があるため、施工期間が長くなること、そのため施工費が高めになってしまうことです。
しかし、張替えは外壁すべてではなく、必要な面のみに施すこともできます。雨漏りなどによるダメージが深刻な場合、下地部分からメンテナンスができる張替えをおすすめします。
カバー工法のメリット
「張替え」はサイディングボードを一新する工法ですが、既存のサイディングボードの上に新しいサイディングボードを張っていくのが「カバー工法」です。近年ではこの方法を選択されるお客様も増えています。
カバー工法の場合、既存のサイディングボードを撤去する工程がありませんから、工事費用を抑えることができます。また、外壁が二重になるわけですから、住宅の剛性が高まり耐震性が向上しますし、断熱性や遮音性の向上にも効果があります。
カバー工法のデメリットとしてあげられるのは、古い住宅の場合、カバーに使うサイディングボードの重量に耐えられない可能性があり、施工できない点です。
また、それほど築年数は経っていなくても、外壁下地の劣化が進んでいたり、外壁強度が低下している場合は、張替えを選択なさることをおすすめします。
軽く、しかも耐久性がある金属系サイディングボードでカバーする方法もありますが、そのためには事前にしっかり調査を行い、施工後に問題が生じないかをしっかり確認する必要があります。
どちらを選ぶかの判断基準
サイディングボードの「張替え」と「カバー工法」どちらを選べばいいか、その判断基準は何でしょう。
施工費の問題はありますが、一番重要な基準は外壁の状態です。なぜなら、外壁は家を守る重要な役割を担っているからです。
つまり、家を守るには「張替え」が適しているのか、「カバー工法」で十分なのか、という点が、どちらの工法を選択するかの判断基準になります。
なお、カバー工法は普通の外壁工事よりも施工面の難易度が高くなります。外壁の事前調査についても言えることですが、外壁リフォームに関する知識・経験を持った専門業者に依頼することをおすすめします。