媒体特許とその定義について
プレスリリースを早まるべからず
特許取得は非常に大きなPR効果を生むため、少しでも早く宣伝広報にも手を打っていきたいと考えるのが当然です。
例えば、新たな技術が形になった段階で早速「◯◯◯社、◇◇◇に関する革新的技術を開発!特許取得へ」とプレスリリースを配信したとします。
その内容にはその技術概要が説明してあります。この場合、もちろん特許取得前に内容を外部公開してしまうわけですから、他社に模倣されるリスクなど特許取得の障害になることは容易に想像がつきます。
では、「特許出願の準備もできた!あとは出願するだけ」というときに、出願に先立ってのプレスリリース配信はいかがでしょうか。他社がその技術を真似して先に特許出願する可能性は極めて低いでしょう。
しかし、このケースも絶対に行うべきではありません。なぜなら「新規性」という特許取得の大切な要件は、プレスリリース配信によってでも失われてしまうからです(プレスリリースだけでなく、自社サイト・ブログでの公開なども同様です)。
「新規性がある」とは「公知」になっていないということ
ある技術に「新規性がある」という時、多くの方が想像してしまいがちなのが「その技術をまだ他社が開発・製品化していない状態である」という状態です。
まだ他社がなし得ていない技術を「新規性がある」と考えるのは当然ですが、実は特許法における「新規性」はそれだけではないのです。
特許法では、その技術が「公に知られていない」状態であることを「新規性がある」と見なすのです。プレスリリースや自社サイトで公開してしまうとその段階でその技術が「公知」となり、新規性の要件を満たさないことになってしまうのです。
このことを知らずに、早まってプレスリリースなどを配信してしまう事例がたまに見られるので注意が必要です。
プレスリリースは必ず出願後に行う
ではプレスリリースはいつ行えるかというと、それは「出願後」です。出願をしてしまえば「先願主義」(先に出願した人がその権利の優先権を持つ)に基づき権利は保護されますので、その技術を公開して公知のものとしても特許取得には影響がありません。
ただ、その公開された情報から他社に技術ヒントを与えるというリスクもありますので、内容には十分に留意したうえで公開内容を作成するようにしなければなりません。
ですが、新しい特許に関わるようなリリースであれば、メディアからの取材依頼も期待でき、大きなPR効果を得ることができます。特許取得にあたっては、ぜひ戦略的な宣伝広報活動を行うようにしたいところです。