特許侵害された時の対応
拒絶理由通知書は審査落ちではありません
特許の出願をしたあと、審査の結果「拒絶理由通知書」が送られてきた場合にはどのように対応すべきでしょうか。ここで早合点をして審査に落ちてしまったと考えてはいけません。
詳しく説明すると審査に本当に落ちてしまった場合には「拒絶査定」というものが出されます。「拒絶理由通知書」とはその「拒絶査定」に先立って予め出願人に拒絶理由を知らせてくれる制度なのです。
実際には特許出願のうち7〜8割に対して「拒絶理由通知書」が送付されると言われています。
ですので、ここで諦めずにその後の適切な対応を進める必要があります。拒絶理由通知への対応は、専門性の高いノウハウが要求されるので専門家へ相談するようにすべきでしょう。
拒絶理由通知への対応は何度でもやり直せるものではなく、根本的な拒絶理由の解消がなされない場合には「拒絶査定」となってしまう恐れがあるのです。
拒絶理由通知書への対応方法
まず拒絶理由通知書を受け取ったら、どの出願請求項がどのような拒絶理由にあてはまるのかを確認します。拒絶理由は、特許法第49条に記載されており、ここに記載のある理由以外で拒絶されることはありえません。拒絶理由がわかればその審査官の判断に、誤解・認識不足などがないか確認します。
そこでその審査見解に対して、意見・反論を行いたい場合には「意見書」を作成のうえ提出します。意見書には、引用文献との相違を説明する等説明によって、審査官に正しい判断をしてもらえるよう促すものです。
一方で、当該出願内容の補正を行うことで拒絶理由を解消することができる場合には「補正書」を提出します。これは出願時に提出した「明細書・特許請求の範囲・図面」を補充・訂正するためのものです。ただし補正ができる範囲は出願当初に記載した範囲に限定されますので、専門家のサポートのもと慎重にすすめるようにします。
分割出願による対応
意見書、補正書による対応のほかに「分割出願」という方法で拒絶理由を解消するケースも考えられます。分割出願とは、その名のとおり出願を分割することです。「発明の単一性」を満たしていないという拒絶理由は、「分割出願」で解消できます。「発明の単一性」とは、請求項に記載した発明がそれぞれ技術的に関連性があることを要求するものです。
また、出願した内容のうち一部の請求項のみが拒絶理由通知を受けている場合があります。その場合には、拒絶理由通知を受けている請求項を分割出願して、拒絶理由通知を受けていない請求項のみを残すことで、拒絶理由通知を受けていない請求項についていち早く特許を取得することが可能になるのです。