特許出願の発明人は人でなければならない。法人は権利の譲渡を受ける
商標登録も事前調査を怠るべからず
商標登録の出願は、必要事項を記入した願書のみで行うことできます。特許のように技術情報を記載した明細書等を作成したり、意匠のように図面を用意する必要がありません。出願自体は比較的容易に行えるので、ぜひ自社の持つ商標をしっかりと登録しておきたいところです。
ただし、単に権利を得たい商標を記入して出願すればいいというわけではありません。事前の綿密な調査が必要になります。調査が甘いと、先願登録商標に基づいて審査で拒絶されてしまいます。
商標の出願にも、出願手数料として《3,400円+(区分数×8,600円)》の印紙代が必要になります。手軽に出願できるからといって、むやみに出願しても事前調査が不十分で結局拒絶されてしまえば、出願手数料を無駄にすることになってしまうのです。
商標の識別性と類似性
商標登録にあたっては、まずその商標の識別性の有無を正しく判断しなければなりません。商標としての識別性がない、と判断されるものは商標権を取得できません。識別性とは、その商標に基づいて自社商品と他社商品を見分けることができるかということです。
例えば商品「めがね」に対して「めがね」など一般的に使われる普通名称をそのまま商標登録はできません。もう少し判断が難しいケースもあります。例えば、清酒に「正宗」という商標は識別性がないと判断されます。これは既にその業界で慣用的に使われている語句だからです。他にも「産地名」「品質」「原材料」等を表しただけの商標にも識別性がないと判断されます。
次に類似性については、当然のことながら既存の登録商標と誤認するおそれのあるものは商標登録ができません。単に似た名前というだけではなく、字面(字の形や並び)の外観、発音した時の音(称呼)、商標から生じる意味(観念)などを総合的に判断してよっても類似性が評価されます。
商標における指定区分の重要性
商標の出願にあたっては、商標だけを記載して出願することはできません。出願する商標を「どんな商品に使用するのか?」(指定商品)、「どんなサービスに使用するのか?」(指定役務)を指定してします。
そして、商標登録された場合には、その指定商品や指定役務において、登録商標を独占的に使うことが認められます。
一方、指定商品や指定役務と異なる商品等までは権利が及ばない上、異なる商品等については他人が同じ商標について権利を取得できる場合がありますので、注意が必要です。自社の商品等や将来の事業展開を見据えて、指定商品や指定役務を定める必要があります。
なお、指定商品、指定役務は、45の区分に分類されており、指定商品、指定役務だけでなく区分を指定して出願します。