媒体特許とその定義について
中国の知的財産権事情
今や世界第2位の経済大国であり超巨大市場である中国は、知的財産権の面においても良くも悪くも大きな注目を集めています。日本の企業にとっても、見過ごすことのできない大きなリスクを抱える可能性もある問題なのです。
まず悪い面においては、多くの方がイメージするように、中国は知的財産権への意識が低く違法コピーや権利侵害が蔓延しているという実情があります。例えば特許庁が公開している「2014 年度模倣被害調査報告書」 によれば、商標や意匠の模倣被害の国別分布は中国が2位の台湾を3倍以上も引き離しての突出した被害率となっています。
また経済成長に伴う形で、中国の国際特許出願件数が急速に伸びているという中国にとっては良いニュースも報じられています(後述するように日本企業にとっては大きなリスクになりえます)。世界知的所有権機関(WIPO)の発表によると、2014年の企業別の国際特許出願件数ランキングの1位と3位に中国企業が入りました。また国別の出願件数でも、中国は日本に迫る世界第3位となっています。
中国の知財問題における日本企業のリスク
中国の知的財産権問題について、一般的に考えられるリスクとして、自社の製品が中国企業に模倣されるリスクがあります。こちらについては以前より大きく問題視されてきた経緯もあり、現在では対策をしっかりと行っている日本企業も多いと言えます。
一方、もうひとつ近年急速にリスクが高まっているのが、逆に、日本企業が中国企業の保有する知的財産権を侵害するリスクです。仮に、ある技術について日本の特許法にもとづいて権利を得ていても、それは中国をはじめ国外では有効性がありません。特許は、国ごとに取得する必要があります。もしも当該技術について、中国国内における特許を中国企業に取得されてしまえばどうなるでしょうか。その技術を中国で展開した場合に、権利侵害で訴えられてしまうのです。
中国特許の対策にいち早く着手を
幸い中国では、模倣品などの知的財産権侵害行為等の取締をさらに強化するよう対策を進めています。また関連法規の制定、改正も矢継ぎ早に行われている状況です。
2014年には知的財産権紛争の専門裁判所「知的財産法院」が北京、上海、広州の3カ所に設立されました。
上述のような新たなリスク要因と、中国国内の急速な特許取得増加という状況を踏まえると、中国特許への対策については中小企業といえども日本企業はできるだけ早く取り組むべき時が来ています。
もちろんリスク回避だけでなく、特許の保護のもとに中国市場に展開できるという大きなビジネスチャンスの可能性も高まっています。