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伊藤馨

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伊藤馨(いとうかおる) / 一級建築士

伊藤建設株式会社

コラム

木の家に合う断熱対策

2016年2月2日

コラムカテゴリ:住宅・建物

断熱材にはグラスウールやロックウールがよく使われています。それぞれガラス・鉱物の廃材を極細の糸状にして綿のようにしたもので、繊維系断熱材と呼ばれています。

価格が安く断熱性能がよい反面、水に弱く、いったん濡れると乾きにくいため、必ず防湿層が必要とされています。このほかに木の家におすすめの調湿性の高い自然素材の断熱材もありますのでご紹介したいと思います。

優れた断熱性能に加え、調湿性能に優れた断熱材「ウールブレス」

自然素材の断熱材としてウールブレスという羊毛の断熱材があります。

ウールは繊維が縮れているので、空気をたくさん蓄えることができます。また、熱伝導率に優れているため、繊維組織内にある空気が外部の空気の侵入を防ぐ優れた断熱材なのです。

繊維の表面は撥水性があり、湿気を通過させる特性があるので、内部結露しにくいなどの調湿機能をもっています。

もし雨漏りなどで濡れたとしても、乾きが早く、型崩れしないところがウールの優れたところです。

また、水中や空気中では腐らない特性により耐久性が高いだけではなく、発火しにくく延焼しにくい難燃性をもちます。
室内の反響音や屋外の騒音を抑える防音性も優れています。

シックハウスの原因となる有害物質も含んでいない断熱材です。

木質系の天然繊維断熱材「セルロース断熱材」

セルロース断熱材は100%が古新聞などのリサイクル古紙を微小に粉砕し、ホウ酸やホウ砂を添加して綿状にしています。

エコロジーで高品質な断熱材としてアメリカでは35%を超えるシェアを占めているそうです。
セルロース断熱材は、調湿性能、結露防止、断熱性能、防火性能、防音性、撥水性能、防虫・防カビ性能を備えています。

こうした良い品質の自然素材の断熱材は価格も高くなってしまいますが、体や地球にやさしい素材を使って長く健康に暮らしていただければと思います。

発泡プラスチック系の断熱材について

上記のような繊維系の断熱材のほかに、発泡プラスチック系の断熱材もあって、ボード状のものや吹き付けるタイプがあります。

ボード状の断熱材は工場でボード状に成型されたものを現場で施工、現場発泡のタイプは現場で吹き付けて施工します。

主な素材として、ドイツで生まれたビーズ法ポリスチレンフォームがあります。これはいわゆる発泡スチロールで、金型にあわせボード状や筒状などさまざまな形状の製品をつくることができます。水や湿気、外部からの衝撃に強いといった特徴があります。

次に、押出法ポリスチレンフォームがあります。ボード状の製品で、高い断熱性に加え、堅くて耐圧力があり外断熱に適しています。発泡プラスチック系断熱材の中ではコストパフォーマンスに優れていることから、広く普及しています。

また、硬質ウレタンフォームというものもあります。現場で吹き付けて施工するタイプで、さまざまな素材に強く接着する力があるため、複雑な構造の場合でもしっかりと隙間を埋めて断熱層を作ることが可能です。小さな泡(気泡)の中に、熱を伝えにくいガスが入っており、優れた断熱性能を発揮します。

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