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人と動物の絆を大切にする獣医師

動物を治療しながら飼い主の心もケアする獣医療のプロ

田村兼人

田村兼人 たむらかねと
田村兼人 たむらかねと

#chapter1

飼い主から信頼を寄せられるホームドクター

金沢市のお隣にある内灘町に、ペットのホームドクターとして飼い主から信頼を寄せられている獣医師がいます。たむら動物病院の院長、田村兼人さんです。

病院の扉を開けると、明るくて清潔感あふれる待合室が広がっていました。そこにはたくさんの可愛いワンちゃんが診察の順番を待っており、飼い主同士がにこやかにお話する光景も見られます。

優しい表情で出迎えてくれた田村さん。最初に、自身が最も大切にしている理念について語ってくれました。

「動物は不思議な力を持っています。ペットのいるところには不思議と人の輪ができて会話も弾む。ペットが人と人をつないでいるわけです。人と動物の絆が家族、友達、地域の絆へと発展していく。私はそんな絆を大事にしたいと思っています」

内灘町に開業したのは1994年。以来二十年以上にわたってペットの病気やケガと向き合い、動物病院としての信頼を築いてきました。診療内容は健康診断から予防接種、避妊去勢、腫瘍の除去、椎間板ヘルニアの手術、救急対応に至るまで広範囲にわたります。

近年は小型犬の骨折治療も増えているのだとか。ペットの高齢化に伴い、癌や痴呆症の発生率も上がっていると言います。さらに最近は、過保護な飼い主も少なくないと指摘。「飼い主が神経質になりすぎると動物も心にゆとりがなくなり、体も弱ってしまう。心配しすぎずに、もっとこの子(ペット)を信じてあげてほしいですね」。田村さんはそうアドバイスしてくれました。

#chapter2

年間八百件の手術でペットの笑顔を取り戻す

田村さんは診療する際、まずじっくりカウンセリング。納得いくまで説明し、治療方針を固めます。取材中、ミニチュア・シュナウザーの診察に立ち会うことができましたが、いろんな角度から質問してワンちゃんの状態を把握。その眼差しは動物を思いやる優しさにあふれていました。飼い主の安心した様子も印象的。そこには飼い主とペット、田村さんとの絆がしっかり見て取れました。

最新の医療機器を導入していることも病院の特徴。2015年3月には建物を増改築し、クリーンな環境を保つ中央手術室を新設。外科用X線撮影装置も配備しました。

「十年前と同じ治療をするわけにはいきません。新しい機器を導入して、少しでも早く病気を発見し、より良い治療ができるようにする。同時に、私たちのスキルを向上させていく。そうやって飼い主の期待に応えていく必要があります」

年間に行う手術は何と八百件以上。それだけの数を手掛けるのは並大抵のことではありません。しかし、「この処置によって動物と飼い主を笑顔にしたいと思うからできるのです。痛くて悲鳴を上げていた犬が、手術後、表情も鳴き声もガラッと変わって、本当に笑顔になる。それが飼い主の笑顔にもつながっていく。だから頑張れる」とのこと。

結局、田村さんは動物だけでなく、人の心のケアをしていたのです。動物のことはもちろん、人間を愛してやまないからこそ、たくさんの飼い主から慕われているのだと分かりました。

田村兼人 たむらかねと

#chapter3

獣医師として社会に貢献していきたい

そんな田村さんはこれまでに、飼い主との心のふれあいを数多く経験してきました。重いリンパ腫を患うウェルシュ・コーギーを飼っていた富山県のご夫婦は、お父さんが癌で闘病中だったにもかかわらず、ペットのためにと通院。懸命の治療でワンちゃんは元気になりましたが、病状は重く、数年後に息を引き取りました。心に大きな穴が空いたご夫婦でしたが、後日、献身的な治療に感謝の気持ちを伝えるため田村さんの元へ。一緒に愛犬のアルバムを見ながら涙して、思い出を語り合ったと言います。

そうやって飼い主の心に寄り添ってきた田村さん。今後は、「獣医師を目指す若者が誇りを持ってこの世界に入って来られるように、私たちの仕事の社会的な地位を向上していきたい。そのためには獣医師が社会貢献していくことが重要」だと訴えます。

自ら先頭に立って提唱してきた学校獣医師制度は、そんな考えが一つの結果を生んだもの。小学校で命の大切さを教えており、「動物が生きている温かさを感じてくれることが何よりも嬉しい」と顔をほころばせます。殺伐とした話題が少なくない昨今、こういった地道な活動が未来の世の中を変えていくきっかけになるのかもしれません。

開業二十周年を記念して企画した脳科学者、茂木健一郎さんの講演会で、茂木さんは「絆をつなぐ毛づくろいをしてほしい」と語ったそう。その言葉通り、田村さんこれからも人と動物の絆を深める毛づくろいをしながら治療に励み、一人の獣医師として社会のために何ができるのかをさらに追求していくことでしょう。

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田村兼人

動物を治療しながら飼い主の心もケアする獣医療のプロ

田村兼人プロ

獣医師

たむら動物病院

少しでも早くペットの病気を発見し、ベストな治療をしたいという考えから最新の医療機器を完備。中央手術室も新設し、充実した治療環境を整えている点が強み。年間に実施する手術は八百件以上という実績を誇る。

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