高層マンションの大規模修繕工事について

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高層マンション大規模修繕工事の工程管理
1. 高層マンション特有の工程管理の難しさ
高層になるほど、一般的な中層マンションとは異なる制約が増えます。
● 高層特有の制約
•仮設計画の複雑さ
ゴンドラ・揚重計画・風荷重の影響など、足場中心の中層とは異なる管理が必要。
•作業時間の制限
風速規制、騒音規制、住民生活(上層階の風切り音など)による制約。
•工区分けの高度化
1フロアあたりの戸数が多く、縦方向の工区管理が重要。
•共用設備の多さ
免震・制振装置、非常用設備、屋上設備などの停止・切替の調整が多い。
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2. 工程管理の基本構造(高層マンション版)
高層マンションでは、工程管理は以下の3階層で整理すると理事会にも説明しやすくなります。
① マスタースケジュール(全体工程)
•工期全体の流れ(例:調査 → 仮設 → 外壁 → バルコニー → 屋上 → 竣工)
•住民説明会のタイミング
•長期休暇(GW・盆・年末年始)を含む
② 工区別工程(縦×横のマトリクス管理)
•高層では「縦方向の工区管理」が重要
例:A工区=1〜10F、B工区=11〜20F、C工区=21〜30F
•ゴンドラの移動計画と連動させる
③ 日・週単位の実行工程(現場管理)
•天候・風速による作業可否の判断
•ゴンドラの稼働状況
•住戸インターホン連絡・立入予定の管理
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3. 工程管理のポイント(実務で特に重要な部分)
● ① ゴンドラ・仮設の稼働計画
•高層では足場よりもゴンドラが主役
•風速10m/s以上で停止などの基準を事前共有
•ゴンドラの台数・位置・移動計画を工程に反映
● ② 天候リスクの吸収
•高層は風の影響が大きく、外壁作業が止まりやすい
•予備日(バッファ)を工区ごとに設定
•週次報告で「天候による遅延リスク」を色分け表示すると理事会が理解しやすい
● ③ 住戸立入作業の調整
•サッシ調整・シーリング・設備点検など
•住民への事前通知 → 不在時対応 → 再訪工程の管理が重要
•立入率を工程の KPI として管理すると透明性が高まる
● ④ 夜間・休日の騒音配慮
•高層は音が反響しやすい
•特に上層階のバルコニー作業は住民ストレスが大きい
•工程表に「騒音作業日」を明示するとクレーム予防になる
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4. 理事会向けの“分かりやすい工程報告”のコツ
実務で効果の高い工夫をまとめました。
● ① 色分け(3色で十分)
色意味
青予定通り
黄リスクあり(天候・住戸不在など)
赤遅延・要対応
● ② 写真枠は固定化
•毎週同じ位置に同じサイズの写真
•「どこが進んだか」が一目で分かる
•高層は階数が多いので、工区代表階の写真を使うと整理しやすい
● ③ 工区マトリクスの活用
•縦:階数
•横:工区
•色で進捗を示すと、理事会が“全体像”を理解しやすい
● ④ 住民影響の見える化
•「今週の騒音作業」
•「今週の立入予定」
•「ゴンドラ位置」
これらを1ページにまとめると、住民説明会でも使える資料になる
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5. 工程遅延が起きたときの説明方法
高層マンションでは天候・風の影響で遅延は避けられません。
理事会向けには、以下の3点をセットで説明すると納得されやすいです。
1.原因(例:風速規制でゴンドラ停止)
2.影響(例:A工区の外壁補修が3日遅れ)
3.対策(例:B工区の予備日を活用し全体遅延は吸収)
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