排水用鋳鉄管の腐食について

排水管の変遷は、「素材の進化」と「施工性・耐久性の向上」の歴史です。鋳鉄 → 塩ビ → 高性能樹脂へと移り、マンション修繕の現場でも更新判断の重要ポイントになっています。
大規模修繕・理事会向け説明にも直結するテーマなので、非専門の理事さんにも説明しやすいように、時代ごとの変遷をわかりやすく整理してまとめます。
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■ 排水管の変遷(日本の建築設備史)
1. 明治〜昭和前期:鋳鉄管の時代
排水管の本格利用は明治期から始まり、当初は鋳鉄管が主流でした。
● 特徴
•ヨーロッパから輸入 → 国内製造へ
•重量があり施工は大変
•耐火性は高い
•腐食しやすく、内部にスケールが付着しやすい
● 製造方法の変遷
•置注鋳造法(明治〜昭和初期)
•砂型遠心力鋳造法(昭和15年〜)
•金型遠心力鋳造法(昭和25年〜)
鋳鉄管は長く使われましたが、腐食・重量・施工性が課題でした。
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2. 昭和30〜40年代:塩ビ管(VP・VU)の登場
高度成長期に入り、集合住宅が増える中で**硬質塩化ビニル管(VP/VU)**が普及。
● 特徴
•軽量で施工が容易
•腐食しない
•コストが安い
•耐火性は鋳鉄より劣るため、貫通部は防火措置が必要
排水管としてはVU(薄肉)が多く使われ、集合住宅の標準に。
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3. 平成以降:高性能樹脂管・耐火二層管の普及
建築基準の強化や施工性向上の流れから、耐火二層管・高性能樹脂管が主流に。
● 主な種類
•耐火VP・耐火VU(耐火二層管)
•HTVP(耐熱性塩ビ管)
•ポリプロピレン管(PP)
•高密度ポリエチレン管(PE)(共用部で採用増)
● 特徴
•火災時の延焼防止性能が向上
•排水騒音の低減
•継手の信頼性向上
•施工性がさらに改善
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4. 現在の主流:静音排水システム・高耐久樹脂
マンションでは、静音排水管(遮音材付)や高耐久樹脂管が一般的。
● 代表的な仕様
•遮音材巻き排水管
•排水通気システム(通気性能の向上)
•伸縮継手による地震対応
•更新しやすいルート設計(スリーブ化・シャフト化)
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■ 排水管の変遷を一枚で整理(理事会説明向け)
時代主材料特徴課題
明治〜昭和前期鋳鉄管耐火性◎、重い腐食・スケール・施工性
昭和30〜40年代塩ビ管(VP/VU)軽量・安価・施工容易耐火性△
平成〜現在耐火二層管・PP・PE耐火・静音・高耐久コストや仕様の複雑化
現在静音排水システム騒音低減・地震対応更新時の設計調整
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■ 大規模修繕での「排水管の変遷」の使いどころ
理事会説明・資料作成で特に役立つポイントをまとめます。
✓ 排水管更新の必要性を説明する根拠になる
•鋳鉄 → 腐食・漏水リスク
•塩ビ → 耐用年数40〜50年で劣化
•現行管 → 耐火・静音・耐震性が向上
✓ 写真付きで「旧 → 新」の比較を示すと理解が早い
•旧鋳鉄のスケール写真
•塩ビの劣化(クラック・変色)
•新しい耐火二層管の構造図
✓ A4縦の報告書テンプレートにも組み込みやすい
•「排水管の歴史」1ページ
•「現状の課題」1ページ
•「更新後のメリット」1ページ
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