洗浄・剥離工事について

大規模修繕工事における躯体・下地補修工事は、建物の寿命と安全性を左右する最重要工程です。ひび割れ・爆裂・浮きなどの劣化を補修し、仕上げ工事(塗装・防水)の効果を長持ちさせるために不可欠です。
________________________________________
■ 躯体・下地補修工事の位置づけ
•**躯体(くたい)**とは建物の骨組み(基礎・柱・梁・壁など)で、建物を支える構造部分。
•下地補修は外壁や屋根の仕上げ材の下にあるコンクリートやモルタルを補修する作業で、塗装や防水の前に必ず行う。
•躯体や下地が劣化したまま仕上げ工事をすると、数年で塗膜の浮きや外壁落下など二次被害が発生する恐れがある。
________________________________________
■ 主な劣化症状
•ひび割れ(クラック):幅0.3mm以上は雨水浸入や鉄筋腐食の原因。
•爆裂:鉄筋が腐食し、コンクリートが内部から押し出されて剥落。
•浮き・剥離:モルタルやタイルが下地から剥がれかけている状態。
•欠損:コンクリートの一部が欠け落ちている。
________________________________________
■ 補修工法の代表例
•ひび割れ補修
o0.3mm未満:セメントフィラーをすり込み
o0.3mm以上:シール材注入、Uカット後充填
•爆裂補修
o露出鉄筋の防錆処理+エポキシ樹脂モルタルで補修
•浮き補修
o孔を開けてエポキシ樹脂を注入し、剥離防止
•欠損補修
oポリマーセメントモルタルなどで断面修復
________________________________________
■ 費用と計画上の注意点
•下地補修は劣化状況により数量が変動するため、設計段階では概算数量で契約し、工事中に「下地調査表」で精算するのが一般的。
•工事予算の5%程度を予備費として計上するケースが多い。
•適切な補修を行うことで、長期的な維持管理コストを削減し資産価値を維持できる。
________________________________________
■ まとめ
•躯体・下地補修は「見えない部分」だが、建物の安全性・耐久性を根本から支える工程。
•仕上げ工事の前に必ず実施し、劣化症状に応じた適切な工法を選定することが重要。
•管理組合や施工者は、調査結果を分かりやすく共有し、予備費を含めた計画的な修繕を進めることが望ましい。
「非専門の理事にも理解できる報告書」を作る際は、劣化症状の写真+補修方法の図解+色分け表を組み合わせると非常に効果的です。
________________________________________



