防水工事の監理業務について

大規模修繕工事の請負契約は、マンション管理組合と施工業者の間で工事内容・費用・工期・保証などを明確に取り決める重要な契約であり、トラブル防止の要となります。
________________________________________
■ 大規模修繕工事における請負契約の基本
•契約主体
o発注者:マンション管理組合(法人格がない場合は理事長が管理者として契約者)
o受注者:建設業法に基づく許可を持つ施工会社(ゼネコン、専門工事会社、管理会社など)
•対象範囲
o共用部分の修繕(外壁、屋上防水、給排水管更新など)
________________________________________
■ 契約書・約款の役割
•契約書:工事内容、請負代金、工期、支払方法、保証期間、違約金などを明記
•約款:契約書に書ききれない詳細な取り決めを補足する定型文書。マンション修繕工事専用の「民間(七会)連合協定マンション修繕工事請負契約約款」が広く利用されている
•ポイント:曖昧な表現を避け、仕様書・設計図を添付して工事範囲や品質基準を明確化することが必須
________________________________________
■ 法改正による影響
•2020年4月の民法改正で「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変更
•これにより、施工会社が提示する保証期間(例:防水10年)が契約上有効に機能しない可能性があるため、契約書作成時に注意が必要
________________________________________
■ トラブル防止のためのチェックポイント
•工事範囲・仕様を詳細に記載(材料、工法、品質基準)
•工期・支払条件・保証内容を明確化
•契約不適合責任の扱いを確認(民法改正対応済みの約款を使用)
•管理組合員への説明と合意形成を十分に行う
________________________________________
■ まとめ
大規模修繕工事の請負契約は、**「契約書+約款+仕様書・設計図」**の三点セットで成立します。特にマンション修繕工事専用の約款を利用することで、工事の特殊性に対応し、発注者と施工者双方の信頼関係を築くことができます。非専門の理事や組合員に説明する際は、契約の骨格(誰と誰が何をどう取り決めるか)を図解やチェックリストで示すと理解が深まりやすいです。



