なぜ定年女子xメタバースxリスキリングなのか
1. はじめに──「空間を共有する」という新しい選択肢
メタバースという言葉は、近年さまざまな分野で注目されています。
しかし、本質的には「仮想空間」や「VRゴーグル」の話ではなく、人と人が"場所を共有するという、オンラインコミュニケーションの進化形と捉えるべきでしょう。
チャットやビデオ会議では、「必要なことだけ」が効率的に処理されます。
一方で、雑談や偶然の出会い、共通の体験から生まれる「信頼」「共感」「ひらめき」は、オンラインでは生まれにくいという課題がありました。
メタバースは、そうした「空白」を埋める新しい関係構築の場として注目されています。
2. 成長するメタバース市場と企業活用の現在地
メタバースは未来の技術ではなく、すでに実務に導入され始めています。
三菱総合研究所が2022年11月に発表した調査によると、日本国内のメタバース市場は2025年に約4兆円規模、2030年には24兆円にまで成長する可能性があるとしています(出典:三菱総合研究所「メタバースの将来展望」2022年)。
世界全体でも、メタバース市場は急速に拡大しており、複数の調査会社が高い成長率を予測しています。米Precedence Researchの調査によれば、グローバルメタバース市場は2030年に1,300億~1,600億ドル規模に拡大し、年平均成長率(CAGR)は約44%〜51%と予測されています。
すでに多くのグローバル企業がメタバース活用を始めていますが、共通しているのは、「空間を通じて、組織内外の関係性を再構築しようとする姿勢」です。
3. メタバースは「社内外の信頼構築インフラ」になりうる
メタバース導入で最も注目されているのは、実は「業務効率」ではありません。
むしろ企業が注目しているのは、以下のような関係性の質に関する効果です。
*社内コミュニケーションの質の向上
・リモートワークによって希薄化した「雑談」や「偶然の出会い」を、アバター空間で再構築
・新入社員や中途採用社員が「誰に話しかけていいか分からない」を解消する設計(例:仮想カフェスペース)
・職種や階層を越えた横断的な交流の促進
*社外パートナーとの関係強化
・展示会・説明会をメタバースで実施することで、遠隔地からも参加可能に
・顧客・クライアントとのコミュニケーションで、柔らかく非公式な「共通の場」が生まれる(ファンの強化)
・採用・広報・インナーブランディングに活用する企業も増加
たとえばある企業では、「Zoomで会議するより、バーチャル空間を歩きながら話す方が、互いの距離が縮まる」と好評を得ており、これは「話の内容」より「場のつくり方」が信頼関係に影響することを示唆しています。
4. おわりに──人間の本質は、やはり「つながり」である
メタバースはあくまで手段にすぎません。
大切なのは、それを「人と人とが信頼を築くための空間」として活用する姿勢です。
テクノロジーの進化によって、遠隔地・異業種・異世代が自由につながれる時代において、
メタバースは「関係づくりの質と選択肢」を豊かにしてくれるものと、私は考えています。
MetaBloomでは、今後もこの空間を「信頼のインフラ」として定義し、経営・キャリア・教育などの領域で活用する提案を続けてまいります。



