何もかもが揃わないとダメなのか?

辻村豊

辻村豊

テーマ:研究開発のヒント

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

スーパーコンピューターがないとできない

以前、大学の研究施設で働いていた時に、『「スーパーコンピューターがないと何もできないから」とか言って、全く来ない学生がいたことを申し上げました。
(かわいい子には旅をさせよ、という程ではなくても…)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5168149/

この時、『〇〇がないから研究できない』という事に初めて遭遇しました。
そもそもその施設で活動することが大前提で、そのための設備など必要な予算を講じていたにもかかわらず…でした。
それだけに『スーパーコンピューターはその施設の予算で購入し、別の場所にある?』という噂もありましたが…
ちなみにそんな疑惑があった教授サマは後に副学長サマになられたと聞きました。
また、上記同じコラム内で既に申し上げていることですが、自らの著作に、『あの施設に関して余りにも事実とはかけ離れ過ぎている?』と思わざるを得ないようなことを書いた別の教授サマは後に学長サマになられています。
出世する人ってそんなもん?
てな世の中なんでしょうか?

ショウジョウバエと一緒でないと…

それはそうと、スーパーコンピューターの学生はどうにかして卒業すれば良いことでしょう。ところが、こちらはそうは行きません。二言目には『成果を上げていただきたい』ばかりを言われておりました。しかもこちらは任期制です。それも何もないがらんどうの施設内で…
結局、その場でやれることを探しまくってやりました。これまた同じコラムに書いております。
(かわいい子には旅をさせよ、という程ではなくても…)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5168149/

そんな中、非常に印象に残った研究員が入って来ました。
おそらく遺伝の研究をしていたのでしょう。
大量のショウジョウバエと一緒にその人はやって来ました。
最初に顔を合わせた時に、私が『全く何もないところで、やっとの思いでテーマを見つけて研究を始めた』と言うと、『あんた何言ってんの???』『全く理解できない!』『ショウジョウバエと一緒でない生活なんて考えられない!』という返答でした。以後、その研究員は部屋に籠ったっきりで、二度と話をすることはありませんでした。一応、研究員の主たる業務として、その施設へ来る学生の相談相手と施設の管理が決められていたはずですが、複数いた研究員の中でやっていたのは私だけでした。もっとも、その施設に常駐?していた研究員は、私とそのショウジョウバエの人だけで、あとは職場に来ることさえしなかったので、『まだマシだった?』と言えばそうだったのかもしれませんが…

アカデミックポジションにしがみつく

そんなこんなで、世の中には『〇〇がないと研究できない症候群』が蔓延しております。
その最たるものが『アカデミックポジションにしがみつく』ということです。
昔から、そのポジションにしがみつくがあまり、生活費のほとんどを嫁はんの稼ぎに頼っている人がいました。もっとも、私にはそんな人が結婚できていることも不思議でしたが…

研究って何だろう?

そもそも研究って何なのでしょうか?
最近はやたら近隣諸国のデータとかを持ち出して、『この国の研究はダメになった論』が多いです。『チャレンジ精神がない!』『ハングリーでなくなった!』いずれも抽象論ばかりです。これでは何をどうしたら良いか?全くわからず、ひたすら脅し文句ばかりを喰らうだけです。こんなのもうたくさんですね。
たとい簡単でショボくても良いので、具体的にできることを論じるべきです。

一人雑誌会を続けている

このホームページに『雑誌会の部屋』というものを設けております。
(雑誌会の部屋)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/service1/

紆余曲折ありますが、15年間ほど、このような活動を続けております。
文献も斜め読みするのではなく、曲りなりにも人様にご説明と所感を申し上げるので、最初から最後まで真面目に読まなければなりません。それだけでも随分違います。
そして、これも『立派な研究』と考えております。
たとい一つ一つは小さくても、塵も積もれば山となります。
これまで実に多くの方々に、この雑誌会を一緒にやろうと声を掛けて来ました。
私ごときが一人でやるより、二人三人となれば、多様性も広がり、威力も大きくなること間違いなしです。
しかしながら、この15年間、誰一人として、手を上げた人はいません。『邪魔くさい』みたいです。今度は『面倒な研究はやらない』症候群です。

これで良かった?

かくいう私も、かつてはアカデミックポジションにこだわっておりました。学生の頃、アカデミックポジションに行かないと『人生の落後者』として烙印を押されていたからです。
ただ、今はそうは思いません。挙句の果てに自営業をやっておりますが、そのおかげで最晩年の父親とも過ごす時間ができました。その中で父親の本当の姿も見ることができました。
(大人なんかに、ならない方が良い?)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5174028/

更に私の場合は、実に四半世紀にも及んで学校という所で教育を受けることができました。素直に幸せだと思います。それができたのも、父親のおかげでしょうから、感謝もしなければなりません。だからこれで良かったのです。

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辻村豊
専門家

辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

原料や素材の研究開発、製造工程、PRなどに関する企業様のお困りごとを丁寧にサポート致します。専用の実験室で実証実験や試作も可能、少量からOKです。更に技術系社員の育成、技術承継のご相談なども承ります。

辻村豊プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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