質問は義務?

辻村豊

辻村豊

テーマ:研究開発のヒント

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。

講演会があった

最近、地元自治体が主催する講演会に行ってきました。
お決まりパターンとして、講演後は質疑応答となりました。
そして、これまたお決まりのパターンとして誰も手を挙げない無音状態となりました。
こういう場合、最悪司会者が質問をします。
ところがこの日はそれもなく、時間がたくさんあったにもかかわらず、司会者は次の講演に移そうとしていました。

手を挙げた

そこで、私は手を挙げて質問しました。もちろん、講演内容に関することでしたが、おそらく予想外の質問内容だったのでしょう。講演者はあまり的確ではない返答をしました。
しかしながら、これは良くあることです。
『鋭いご指摘です!そこまで考えが及んでおりませんでした。』という応答も珍しくはありません。また、過去にも大御所の先生に質問してたところ、その瞬間は不穏な雰囲気とはなりましたが、後の懇親会で名刺交換した際には非常に和やかになったこともございます。
(5つ目のP ~『人』、大切です~)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5144868/

質問はノルマであった?

大学院生の時だったでしょうか?とある大学の当時は助教授で、その後は首都圏にある大手大学の学長にもなった先生から聞いたお話です。その先生が学生だった頃、研究室内の雑誌会や報告会はもとより、学会や講演会のように、とにかく誰かが前で話をするとなると必ず質問するノルマが課せられていたそうです。その結果、まずはとにかく話を必死になって聞き、常に質問内容を考えていたそうです。
この話に私は大きな影響を受け、それ以来、学会や講演会などではなるべく手を挙げようとしております。

弁論大会で

こんなこともありました。
大学生の時、母親の知り合いの息子さんも大学生でした。
かなり有名な弁論大会で優勝したそうです。
そして母親のところにその時の原稿が送られて来て渡されました。
国会の在り方にについて、欧米の議会を学ぶべきというものでした。
ただ、私はその原稿を見て、『よくある欧米信仰の舶来品主義でつまらないもの』と思いました。
例えば原稿の中で称賛している国の中には当時起こっていた国際紛争の当事者の双方に武器を輸出している国もあったことを指摘し、『見倣うおうとしている国の議会は必ずしも正しい決定をしていないのでは?』とか、いろいろ批判的なことを手紙に書いて、『直接』本人へ送りました。
今から考えれば、単なる若気の至りだったのかもしれませんが…
ところが本人からは意外にも?大喜びの返事が来ました。
どうやら弁論大会に優勝して以来、『凄い!』と言って優勝について言及する人たちは多々いたものの、誰一人として中身について話す人はいなかったそうです。そんな優勝を称える声なんかより、中身について、少しでもコメントがある方が余程良かったということでした。
それ以来、その息子さんとは友人になり、現在でも関係が続いております。
てなことで、弁論も講演も中身が大切であり、中身について質問やコメントをすることが如何に発信する側にとって大切か?ということです。
逆に荒野に向かって叫ぶほど寂しいことはありません。
それだけに、質疑応答で手を挙げて質問することは講演者に対する敬意でもあると考えます。

都合の良し悪しが重要?

ただ、この日の場合は状況が違っていました。
私の話が続いていたのに、司会者はさっさと遮ってしまいました。
ただ、私が手を挙げたことが起爆剤になったのか、そのあと何人かが続きました。
その中で、同じ自治体関係者も質問していました。
ただ、いわゆる官製と申しますか、自治体の宣伝もかなり入った、早い話が実に下らない内容でした。にもかかわらず、自治体の職員でもあった司会者は良い質問のように扱い、延々と続けさせました。何か見えない力が働いているようでした。
結局、主催した自治体にとって都合が良いのか?悪いのか?、あるいは吹いて飛ぶような弱い零細業者なのか?身内なのか?で扱いが大きく異なるようです。

手を挙げよう!

ただ、これは私が手を挙げたからこそわかったことです。
『直接』話し合いをしようとしたからです。
そのためにも上記元学長の先生の話にあったように、前で人様が話をする時には話を良く聞き、質問を義務化までしてしまうことは極めて重要で、この国に最も欠けている部分ではないか?と考えます。
確かに質疑応答の際、何もしないのはリスクもありませんし、極めて楽です。
ただ、日頃から、思考停止、事なかれ主義、とりあえずの楽ばかりを求めて享受し、直接情報を仕入れるなどの頑張りもせず、その一方でひたすら質の低い情報ばかりを集めては知ったかぶりをして得意がっている、こんなことで良いのでしょうか?

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辻村豊
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辻村豊(技術コンサルタント)

合同会社 播羊化学研究所

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