しっかり読んでくれたことも…しかし…
既存木造建築物耐震補強対策・技術について
その後、既存木造建築物耐震補強対策・技術について、長年材料メーカーに勤務していた方より情報が寄せられましたので、ご紹介申し上げます。
やはり、比較的廉価とはいえ、200~500万円とかなりの金額がかかるところと、工事がどれだけ日常生活に影響するか?一旦引っ越さなければならないか?否か?など、なかなかおいそれとは行かない部分もあろうかと思います。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(寄せられたお話)
既存木造建築物耐震補強対策・技術についてですが、1995年の阪神・淡路地震の被害調査から建築物の基礎構造を大きく変えることなく比較的廉価で耐震補強が出来る技術が生まれています。
日本の普通の木造建築物の構造は「軸組工法」という 材木を”材料に開けた穴に材料を直角に差込んだ90°の枠”を基本構造としたものです、この枠を組み合わせたバラックに”壁や建具を組み合わせて内層、外層は板を貼り、この上に屋根構造を載せる”のです。
地震で建物が揺すられると”組合わせた差込みが引抜かれるか細くなっている部分が折れて枠構造が壊れて崩壊します”
また揺すられるとこの”枠”が開口部(入口とか大きな窓)で歪んで”正方形、長方形が変形、平行四辺形となって崩壊”します。
これが木造構造物の破壊の大半なので(屋根が重いのでこの傾向が加速される)
・引抜きを防止する、として軸基幹交差部に引抜き防止用金物を設置して引抜き対抗力を上げる
・軸組構造補強のために”軸組枠へ構造用板材を貼って枠全体を一体化する”(耐力壁構築と言います)
・開口部は壁にするわけにはいきませんので、枠構造の強化として柱の剛性を上げる(太くする、補強材を添加する)、
基幹交差部に引抜き防止用金物を設置する
・重量のある”屋根の軽量化”と屋根を支える構造柱の剛性強化(補強材添加)
・建築物の基礎(昭和以前の住宅の場合は置き基礎が多い、これを布基礎化)強化
これが対策で通常の住宅で 200~500万円、くらいで一応の対策が可能です。
今回の 令和6年能登半島地震でも 対策済み住宅は崩壊せず、未対策住宅はかなり大きな被害を受けていました。
ここ数年、能登半島では大きな地震が続いていたので、住宅構造に影響が出ていてそれが被害を大きくした、と建築業界の方が仮報告されていましたが、木造住宅への耐震対策の強化が必要なのは日本全国です。
大地震があれば必ずこの問題が表に出ますが、費用が掛かること、建築業の人手不足等々で喉元過ぎれば熱さを忘れるフツーの人が多いのでは仕方ないのかもしれませんが。