水質分析の実績と技術を生かしアスベストの調査に取り組むプロ
福田浩一
Mybestpro Interview
水質分析の実績と技術を生かしアスベストの調査に取り組むプロ
福田浩一
#chapter1
「高度経済成長の弊害として、水、空気など日常を脅かす公害が社会問題となった1960年代、自然環境を保全するための法律が整備されました。弊社は当時から、河川や湖沼の水文観測を行うなど、水資源の検討、評価に従事してきました。今後は当方が培ってきた知識や技術を、石綿(アスベスト)への対策に応用していきたいと考えています」
そう力強く語るのは、「福田水文センター」の代表、福田浩一さん。長年手掛けてきた水質調査では、戦後の四大公害病の原因となったカドミウムや水銀など数十種類の有害物質の含有量をチェック。国や北海道といった公的機関からの案件を数多くこなしてきました。
「大気汚染防止法などの改正により、建材などに使用されてきたアスベストに関する規制が、段階的に厳格化されています。解体・改修工事前には届け出が必要になるほか、工事作業時には、飛散防止策を施すことが義務付けられます。これを受け、当方では、解体時などの事前調査、分析を行うこととしました」
法改正に伴い、「建築物石綿含有建材調査者」の資格を有する人が調査をしなければならなくなります。スペシャリストを育成するために、従業員に定められた講習の受講を促し、修了者をそろえ布陣を整えました。
「粉じんが広範囲に飛び散ることになれば、現場の作業従事者だけではなく、周辺住民の方にも被害が及びかねませんから。事前調査は社会貢献につながり、大変意義があることだと感じます。私どもが築いてきた品質保証体制をしっかり生かしてまいります」
#chapter2
1965年、福田水文センターは「福田商会」として誕生します。福田さんの父・昭さんが創業して以降、半世紀以上の歴史を重ねてきました。
「弊社は測量機器の販売代理店からスタートしましたが、国土開発が進むとともに流量観測や水質分析といった分野に参入。水の循環に携わる事業者としてまい進するとの意を込めて、現在の『福田水文センター』という社名に改めました」
福田さんは、札幌市で橋梁の設計を担う会社に8年間勤めた後、父の希望もあって家業に入ります。
「最初は、こんなに大掛かりな機械設備と人手をかけなければいけないのかと驚きでした。事業を回していくには、各局面で的確な判断と相応の投資を要しましたが、それにふさわしい、正確性を期す重要な任務なのだと実感するようになりました」
昭さんが時代のニーズに合わせて業務の幅を広げていったように、福田さんも世の中の動きを読み取り、アスベスト調査に注力していくことを決めました。
改正法におけるアスベストの事前調査は、設計図などでの書面調査、建物に赴いての現地調査、そして実際に試料を採取して調べる分析調査という三つの段階があります。福田さんのもとでは、すでに建築年の古い公務員宿舎を請け負うなど、着実に実績を積んでいます。
「報告書を作成して役所や企業に提出しますが、それは目的ではありません。現場作業者や周辺住人の暮らしと健康を守るのが目的なのだと、職員一同、胸を張って仕事をしていきたいですね」
#chapter3
2022年6月、福田さんにとって大きな出来事がありました。父であり先代でもある、昭さんが亡くなったのです。
「悲しみと同時に、責任の重さを痛感しています。経営の実務を任されて15年あまりたちますが、改めて気を引き締めなくてはいけないなと。気持ちと志を新たにしています」
経営を引き継いだ当初にも、重圧を強く感じることがありました。これから自分が率いていくのは100人規模の従業員で、それぞれに配偶者や子ども、親・兄弟姉妹がいる。会社の業績が、家族の生活をも左右することになる。自身に託された裁量はプレッシャーであった一方、日々、自社のためにがんばってくれる職員たちと向き合ううちに、経営者としてのやりがいにも変わっていきました。
「一人では思い付きもしなかった発想が、仲間がいると出てくるんですね。切磋琢磨しながら、一緒に成長していけることをうれしく思います」
支えてくれる仲間たちに悩みや困り事があれば親身に寄り添い、サポートしていきたいという福田さん。事業を営む上で大切にしてきた昭さんの言葉があります。それは、「うつつを抜かさず、堅実であれ」という心構えです。
「創業半世紀以上に渡り、業務の軸足を定め遂行する。更に担い手を求める声に柔軟に応じることで、今日までやってくることができました。これからも環境や人に配慮し、みなさまの期待にこたえられるよう励んでまいります。また、情熱と探究心を絶やすことなく、新しいことに実直かつ貪欲に挑戦していきたいですね」
(取材年月:2022年9月)
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水質分析の実績と技術を生かしアスベストの調査に取り組むプロ
福田浩一プロ
調査・分析
株式会社福田水文センター
戦後の公害に端を発した計量証明事業に基づく水質調査において長年の実績がある。高い精度の分析技術を強みに、大気汚染防止法・労働安全衛生法(石綿則)が求める厳格化されたアスベスト事前調査に対応する。
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