【初月1万円】資金繰り不安を解消する経営診断で、3ヶ月後には数字に強い経営者に
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「後継者がいない」「資金繰りが厳しい」「このまま続けていけるか不安」
こんな悩みを抱えている経営者の方、実は驚くほど多いんです。私は27年間、経理・業務改善の専門家として、中小企業の資金繰りや財務改善をサポートしてきました。その中で、多くの経営者からM&Aや事業承継の相談を受けてきた経験から断言できるのは、M&Aや株式売却には必ず「あなたの会社に合った選択肢」が存在するということです。
先日も、ある製造業の社長から「M&Aって100%売却しか選択肢がないんでしょ?」と相談を受けました。いえいえ、そんなことはありません。今回は、経理のプロの視点から、M&A株式売却における5つの選択肢とその判断基準をお伝えします。
1. 100%株式譲渡:きれいさっぱり新たな人生へ
最もシンプルで分かりやすいのが、保有株式を全て譲渡する方法です。
想定される事例として、製造業A社(従業員30名)のケースを考えてみましょう(※架空の事例です)。創業者の田中社長は70歳。後継者不在で悩んでいましたが、同業の大手企業に100%株式を譲渡。譲渡対価3億円を得て、借入金1.5億円を完済。手元に残った1.5億円で、退職金と老後資金を確保できました。
税務面でも、譲渡所得税は分離課税で約20%。事前の株価対策により、実効税率を15%程度に抑えることが可能です。経理の専門家として申し上げると、事前の税務対策次第で手取り額は大きく変わります。資金繰りの心配から解放され、第二の人生を楽しむことができるでしょう。
2. 段階的株式売却:じっくり引き継ぎながらの承継
一気に手放すのが不安な方には、段階的な売却がおすすめです。
サービス業B社の想定事例(※架空の事例)では、初年度に51%、3年後に残り49%を譲渡する契約を締結。この3年間で後継者への引き継ぎを丁寧に行い、取引先からの信頼も維持できる設計です。
段階的売却の最大のメリットは、キャッシュフローの安定性です。初回の売却で借入金を返済し、その後の経営で得た利益を2回目の売却価格に反映させることも可能。私が財務分析した類似ケースでは、2回目の売却価格が初回の1.3倍になった例もあります。
3. 一部株式売却+業務提携:成長資金を得ながら経営継続
「まだまだ経営を続けたいけど、成長資金が必要」という方には、この選択肢が最適です。
IT企業C社の想定事例(※架空の事例)では、大手企業に40%の株式を売却し、2億円の資金調達に成功。この資金で新システム開発を行い、売上が2年で1.5倍に成長するシナリオが描けます。
ポイントは、経営権(50%超)を維持しながら、相手企業の経営資源(資金・ノウハウ・販路)を活用できること。ただし、株主間契約をしっかり結ばないと、後々トラブルになることも。経理の観点から重要なのは、意思決定プロセスと配当方針を明文化することです。
4. MBO(経営陣への売却):社員と共に歩む選択
従業員や役員への承継、いわゆるMBOも有力な選択肢です。
小売業D社の想定事例(※架空の事例)では、専務を中心とした経営陣5名が、金融機関からの借入とファンドからの出資を組み合わせて株式を取得。創業者は売却代金2億円を得て引退し、企業文化は見事に継承されるというシナリオです。
MBOの課題は資金調達です。経営陣に十分な資金がない場合、借入依存度が高くなり、その後の資金繰りが厳しくなることも。私が財務計画を立てる際は、5年間の詳細な返済計画を作成し、売上の10%を返済原資として確保する仕組みを提案しています。
5. 事業譲渡という選択:会社は残して事業だけ売却
株式売却にこだわる必要はありません。事業譲渡なら、より柔軟な設計が可能です。
飲食業E社の想定事例(※架空の事例)では、不採算の3店舗を残し、優良5店舗の事業のみを譲渡。譲渡対価1.5億円で借入金を完済し、残った3店舗は規模を縮小して黒字化。創業の地で小さく経営を続けるという選択肢もあります。
事業譲渡のメリットは、必要な部分だけを切り出せること。負債や不要な資産を引き継がせずに済みます。ただし、従業員の同意や取引先との契約変更など、手続きは株式譲渡より複雑になります。
どの選択肢を選ぶべきか:3つの判断軸
経理・財務の専門家として、選択の判断基準は以下の3つに集約されると考えています。
1. 財務状況
借入金の額、資金繰りの状況、必要な手取り額を整理しましょう。
2. 経営者の意向
完全引退したいのか、まだ関わりたいのか。正直な気持ちが大切です。
3. ステークホルダーへの影響
従業員の雇用、取引先との関係をどう維持するか検討が必要です。
まとめ:あなたに最適な選択肢は必ずある
M&A株式売却の選択肢は、100%売却だけではありません。段階的売却、一部売却、MBO、事業譲渡など、様々な方法があります。大切なのは、あなたの会社の状況と、あなた自身の想いに合った選択をすること。
成功の鍵は、早めの準備と専門家への相談です。特に資金繰りと税務の観点からの検討は不可欠。私も日々、経営者の方々の財務面でのお悩みに寄り添い、最適な解決策を一緒に考えています。
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筆者プロフィール
檜和田知之(ひわだ・ともゆき)
27年間の経理・業務改善経験を持つ、中小企業の資金繰りのプロ。財務分析と資金繰り改善を専門とし、多くの中小企業の経営改善をサポート。経営者の「お金の悩み」に寄り添い、実務的な解決策を提供している。
出典
- 中小企業庁「事業承継ガイドライン」(2022年版)
- 日本M&Aセンター「M&A実態調査レポート」(2024年)
- 国税庁タックスアンサー No.1463「株式等を譲渡したときの課税」



