2024年PEST分析から見える中小企業のデジタル化格差―ChatGPTがもたらす経営環境の大変革―
はじめに
年が明けて最初のご挨拶を書かせていただきます。
昨年末、本コラムをお読みいただいた経営者様から、モノづくり補助金の申請サポートについてご相談をいただきました。私のつたない文章が、経営者様の決断のきっかけとなったことに、深い感謝の気持ちでいっぱいです。
27年の実務経験を通じて学んだことは、経営者様の「一歩を踏み出す勇気」がいかに大切かということです。昨年末にご相談いただいた企業様の採択に向けて、私も全力で伴走させていただく所存です。
2025年、広島県の経済は大きな変革の只中にあります。広島駅前では新駅ビル(minamoa)が春に開業を迎え、紙屋町・八丁堀地区の再開発も着々と進んでいます。製造業では、EV化への対応やカーボンニュートラルへの取り組みが本格化し、まさに「2025年の崖」と言われたデジタル化への対応が正念場を迎えています。
一方で、人口減少や人材不足、原材料価格の高騰など、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いています。しかし、このような時期だからこそ、次の一手を考え、実行に移すチャンスでもあるのです。
1. 広島の経済動向から見る2025年の展望
広島市では、春に控えた新広島駅ビル「minamoa」の開業を皮切りに、紙屋町・八丁堀地区の再開発が本格化しています。20階建ての複合施設には商業施設やホテルが入居し、観光・商業の新たな拠点として期待が高まっています。
一方、呉市でも大きな動きが始まっています。呉駅周辺地域総合開発の第1期工事として、6階建ての複合施設が今年度の竣工を予定しています。商業施設や子育て支援施設などが入る予定で、市民生活の利便性向上に大きく貢献するはずです。
製造業に目を向けると、広島市ではマツダを中心にEV化への対応が加速しています。呉市では、造船業で環境対応型船舶の需要増加に伴う設備投資が進み、防衛関連産業でも新技術導入による生産効率向上が期待されています。
特筆すべきは、両市ともに観光分野での回復基調が顕著なことです。広島市の平和記念公園や新しい市民球場、呉市の大和ミュージアムなど、インバウンド需要の回復により、宿泊・飲食サービス業にも明るい兆しが見えています。
しかし、課題も山積しています。生産年齢人口は広島県全体で生産年齢人口の減少が進んでおり、特に呉市では生産年齢人口が約53.7%と低水準となっています。この人材不足は、地域の中小企業にとって深刻な課題となっています。また、原材料価格の高騰や、円安の影響による仕入れコストの上昇も、地域の中小企業の経営を圧迫しています。
2. 中小企業が直面する3つの課題
今、広島・呉の中小企業が直面している課題は、大きく3つに分類されます。
まず第一に、深刻な人材不足の問題です。広島県全体で生産年齢人口の減少が進んでおり、特に呉市では生産年齢人口が約53.7%と低水準となっています。この人材不足は、地域の中小企業にとって喫緊の課題となっています。
第二に、コスト上昇の問題があります。原材料価格の高騰に加え、人件費の上昇も企業経営を圧迫しています。特に製造業では、EVシフトやカーボンニュートラルへの対応に向けた設備投資の必要性も高まっており、資金面での課題が顕在化しています。
そして第三に、いわゆる「2025年の崖」と呼ばれるデジタル化対応の問題です。既存システムの老朽化やデジタル人材の不足は、生産性向上の大きな障壁となっています。広島市のIBM地域DXセンターの設立や、呉市のスマートシティ構築の取り組みなど、行政による支援は始まっていますが、多くの中小企業ではまだ十分な対応ができていない状況です。
しかし、これらの課題は裏を返せば、大きな可能性を秘めているとも言えます。デジタル化による業務効率化は人材不足の解決策となり、新技術の導入はコスト削減にもつながります。実際に、広島市では製造業のスマートファクトリー化が進み、呉市でも造船業における生産ライン最適化の取り組みが始まっています。
3. 活路を見出すための具体策
広島市と呉市では、具体的な再開発プロジェクトが進行しています。
広島市では、新広島駅ビル「minamoa」が地上20階建ての複合施設として今春開業を予定しています。約25,000㎡の商業施設と380室のホテル、さらにシネマコンプレックスを備え、2階には路面電車の乗降場も新設されます。
呉市では、呉駅周辺地域総合開発の第1期工事として、地上6階建ての複合施設が今年度の竣工を予定しています。商業施設、公益施設(子育て支援)、医療・文化・スポーツ施設が入居予定です。さらに、地上23階建て・120戸規模の分譲マンションも2026年度の竣工に向けて進んでいます。
製造業では、環境対応への投資が具体化しています。広島市ではEV関連技術への投資が進み、呉市では環境対応型船舶の需要増加に対応した設備投資が行われています。
デジタル化の面では、広島市にはIBM地域DXセンターが設立され、デジタル人材の育成や企業誘致の拠点となっています。呉市では自治体DX推進計画に基づき、行政のデジタル化と地域経済活性化の取り組みが進められています。
4. DXで切り開く新しい可能性
広島県では、具体的なDXの取り組みが始まっています。
広島市では、IBM地域DXセンターを拠点に、製造業分野でのAIやIoTを活用したスマートファクトリー化が進んでいます。また、広島銀行は地域企業向けのDX支援プログラムを展開し、中小企業のデジタル化を後押ししています。
呉市では、「スマートシティくれ」の構想のもと、AIやIoT技術を活用した行政サービスの効率化が進められています。造船業では生産ライン最適化のためのスマートファクトリー導入が進み、中小企業向けにはクラウドサービス導入支援やAI活用によるマーケティング支援プログラムが提供されています。
まとめ
2025年、広島県の経済は大きな変革期を迎えています。広島駅前の新たなランドマーク「minamoa」の開業、呉駅周辺の再開発、製造業における環境対応投資など、具体的なプロジェクトが動き出しています。
冒頭で触れた補助金申請のご相談をいただいた企業様のように、一歩を踏み出す決断をされる経営者様が増えていることに、大きな希望を感じています。
本年も、広島・呉の企業様の経営改善のお手伝いを、全力で進めてまいります。些細なことでも、30分無料相談をご利用いただくか、お電話(090-1683-9585)にてお気軽にご相談ください。
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