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介護の現場では今、深刻な人手不足が続いています。2024年現在、介護事業所の約80%が人手不足を感じており、2040年には約57万人の介護職員が不足すると予測されています。この記事では、私自身の実体験と、実際の介護施設でのDX導入事例を通じて、人の想いとテクノロジーの調和について考えていきます。
■ 「母の足取りが変わった日」
「お母さん、また階段で転びそうになったの?」
80歳を過ぎた母との電話で、私の心臓が止まりそうになりました。かつては毎日散歩を日課にしていた母が、今では階段の上り下りさえ危うくなっている――。両親の介護について考え始めたのは、そんな些細な変化に気づいた時からでした。
同時に私は、介護の現場で働く方々への関心も強くなりました。24時間体制の見守り、細やかなケア、そして何より、お一人お一人の尊厳を守る繊細な対応。それらは決して機械では代替できないものです。
しかし、だからこそ、その貴重な人材の時間を、より直接的なケアに充てられるようにすべきではないか。そう考えた時、介護現場のDXは、単なる効率化ではなく、「想いを形にする手段」として見えてきました。
■ 介護現場の「心」を支えるDX
広島市内の特別養護老人ホーム「Aの郷」(入居者80名)での取り組みをご紹介します。
ここでは2023年、介護記録のデジタル化と見守りセンサーの導入により、スタッフの業務時間を1日あたり平均2時間削減することに成功しました。しかし、より重要なのは、その2時間が入居者との会話や細やかなケアに充てられるようになったことです。
きっかけは、あるベテラン介護士の言葉でした。
「もっと入居者さんとゆっくり話がしたい。でも記録作業に追われて…」
この声に応えるため、施設長の田中さん(仮名)は、まず夜勤帯の見守り業務からデジタル化を始めました。
■ 具体的な取り組みと成果
1.見守りセンサーの導入
- 居室内の動きを検知し、転倒リスクを事前把握
- 夜間の巡回頻度を適正化
- スタッフの精神的負担を軽減
2.介護記録のデジタル化
- スマートフォンで即時記録が可能に
- 申し送り時間が1日30分短縮
- 情報共有の質が向上
スマートフォンで即時記録が可能に
申し送り時間が1日30分短縮
情報共有の質が向上
3.コミュニケーションの変化
- 対入居者との会話時間が1.5倍に
- スタッフ間の情報共有が円滑に
- 家族とのコミュニケーションも充実
投資対効果:
- 初期投資:約320万円(補助金活用で実質160万円)
- 月額費用:15万円
- 残業時間削減効果:月約40時間/人
■ 「想い」を活かすテクノロジー
導入に際して最も重視したのは、「介護の質を落とさない」という点でした。むしろ、定型業務をデジタル化することで、スタッフの方々の「もっとよいケアを提供したい」という想いを実現する時間を生み出すことができました。
実際、導入後3ヶ月で離職率は前年比30%低下。「仕事にやりがいを感じる」というスタッフの声も増えています。
■ おわりに
私の母は今も自宅で生活していますが、いつか介護が必要になる日が来るかもしれません。その時、介護スタッフの方々が、十分な時間と余裕を持って接していただけることを願っています。
介護記録のデジタル化
スマートフォンで即時記録が可能に
申し送り時間が1日30分短縮
情報共有の質が向上
コミュニケーションの変化
対入居者との会話時間が1.5倍に
スタッフ間の情報共有が円滑に
家族とのコミュニケーションも充実