相続財産が負担になる? 「負動産」リスクとその対策
相続の手続きには、短期間で終わるものもあれば、想像以上に時間を要するものもあります。
今回は、相続手続きの全体像や、なぜ手続きが長引くことがあるのか、そして相続開始後に家族が戸惑わないようにするための生前の備えについて説明します。
相続手続きの全体像 早く終わるもの・長引くもの
相続が開始すると、家族は役所への届出、税金の申告、名義変更などさまざまな手続きを進める必要があり、相続の内容や状況により完了までの期間は大きく異なります。また、手続きのなかには期限が定められているものもあり、期限を過ぎるとペナルティが発生する可能性もあります。
代表的な手続きの期限は、次の通りです。
・死亡届の提出(市区町村役場):7日以内
・相続の承認・放棄(家庭裁判所):3カ月以内
・準確定申告(税務署):4カ月以内
・相続税の申告(税務署):10カ月以内
相続手続きのうち、死亡届の提出や年金・健康保険などの公的手続き(国民年金・厚生年金の受給停止、国民健康保険や介護保険の資格喪失など)、葬儀・埋葬に関する手続きは、必要書類がそろっていれば比較的スムーズに進みます。
一方で、次のような手続きは、一般的に時間がかかる傾向にあります。
・遺産分割協議
相続人全員で遺産の分け方を話し合い、全員の合意を得る必要があります。人数が多い場合や意見が分かれる場合は、長期化しがちです。
・不動産の名義変更
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など多くの必要書類を整え、登録免許税を算出、法務局で手続きを行います。準備に時間を要しがちです。
・金融機関の相続手続き銀行口座が複数ある場合、金融機関ごとに必要書類を確認し、窓口や郵送で手続きを進める必要があります。金融機関によって求められる書類が異なることがあり、手間がかかることもあります。
なぜ手続きは長引くのか 生前の準備で変わる安心
相続手続きが長引く原因として、次のような点があげられます。
・遺産分割の方法について、意見がまとまらない
・相続人が多い/遠隔居住で連絡が取りづらい
・相続財産を確定するための情報が整理されておらず、財産の全体像を把握できていない
・遺産のうち不動産が占める割合が大きく、分け方の調整がむずかしい
こうした事態を避け、相続が開始した後で家族が困らないようにするためには、生前に次のような備えをしておくことが大切です。
①財産や契約関係の情報整理
財産や負債、生命保険などの契約内容や、ネット銀行などのデジタル資産を明確にしておく。
②相続人関係の確認
前妻や前夫との子や、認知した子など、相続人となる可能性のある人を把握しておく。
③家族との事前の話し合い
財産の継承に対する考えや希望を家族間で共有しておく。
④必要に応じて遺言書の作成や専門家への相談
専門家の助言で、確実な準備ができる。
⑤相続税が発生する場合には納税資金の確保
生前の準備で、相続手続きは格段にスムーズになり、相続人の心理的・実務的な負担を軽減できます。また、手続きの停滞やトラブル防止効果も期待できます。相続手続きは、内容によって必要な時間が大きく異なります。そして、生前の準備があるかどうかで、相続開始後の家族の安心感は大きく違ってきます。不安がある場合は、できるところから少しずつ準備を進めていきましょう。



