くも膜下出血の症状─突然の激しい頭痛と吐き気
いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
本日は、群発頭痛についてです。
頭痛の基礎知識としての六回目のコラムになります。
【概要】
群発頭痛は、1000人に1人の割合で発症。
男性に多く、飲酒が群発頭痛の引き金。
群発頭痛の症状や治療法、予防法などを紹介します。
群発頭痛の見分け方は?
代表的な症状は「片目の痛み」
群発頭痛は他の一次性頭痛と違い、頭痛が起こる時期と起きない時期がはっきりしています。
また頭痛が発症する期間は、発作の時間が決まっているという特徴もあります。
頭痛が起きる頻度は、数カ月~数年ごとです。
この間はほぼ毎日か、一日の中でも決まった時間帯に頭痛の発作が起こり、1~2カ月のあいだ毎日続きます。
このように群発頭痛が起こる時期のことを「群発期」と呼んでいます。
痛みが続く時間は、15分~3時間と個人差があります。
片頭痛にみられるような頭痛の前兆はありませんが、患者の約6割が就寝後に頭痛を発症します。
そして群発期間を過ぎれば、まるで頭痛が治ってしまったかのようになります。
この時期は「寛解期」と呼ばれています。
また群発頭痛独特の症状に、目の周辺から側頭部にかけて「キリキリする」「目がえぐられる」「きりで刺される」といった鋭い痛みがあります。
痛む場所は、必ず片目で、痛みに耐えかねて部屋中を歩き回ったり、壁などに頭を故意にぶつけたりする人もいます。
「自殺頭痛」という別名もあるぐらいです。
このような痛みに加えて、眼球の充血や流涙、鼻水、顔面の紅潮や発汗といった症状があるのも群発頭痛の特徴です。
理由は不明ですが、20代~40代の男性で、群発頭痛を抱える人が多いことがわかっています。
飲酒が群発頭痛の引き金になる
群発頭痛が起こる原因はまだ不明な点が多いのですが、群発期に飲酒をすると、ほぼ確実に頭痛の発作が起きることがわかっています。
そのため
群発頭痛と診断された人は、群発期間中はできるだけ飲酒をしない方がよいといえます。
また飲酒以外に、狭心症の治療薬「ニトログリセリン」なども群発頭痛発生の原因のひとつと考えられています。
この頭痛の特徴である「目の痛み」の症状の原因は、いくつか挙げられていますが、いずれもはっきりとは解明されていません。
現在、飲酒以外に指摘されている原因は、目の奥にある視床下部になんらかの異常が起きているか、その付近の内頚動脈の拡張やその周囲の炎症と三叉神経が刺激を受けて血管拡張が起こっているなどがあります。
群発頭痛の治療法や予防法について
群発頭痛の治療は薬物療法や酸素吸入法、皮下注射などがあります。
また
頭痛が起こらないよう予防療法を行うこともあります。
治療効果には個人差があるため、医師と相談しながら治療を進めていきます。
(1)発作時に用いる治療薬の種類や使い方
・市販の鼻炎スプレー(保険適応外)
鼻炎スプレーの薬剤に含まれているリドカインが、頭痛を和らげます。
痛みを感じる側の鼻孔にスプレーします。
・スマトリプタン
点鼻や錠剤タイプがよく用いられていますが、即効性がある自己注射タイプもあります。
点鼻スプレーは、痛い側と反対側の鼻粘膜から薬剤を吸収させるようにします。
自己注射は、群発頭痛の発作時間が短いことや、夜間の発作に迅速に対処するために有効な方法です。注射後5分ほどで効果が出ます。他の薬剤との併用については、医師からの指示にしたがって使用してください。
・純酸素吸入法(在宅酸素療法)
発作時に鎮痛薬で対処できない時に有効な方法です。
医療用純度100%の酸素を、フェイスマスクを使いながら毎分7リットル、15分吸入します。※2018年から在宅酸素療法も保険適用となりました。
(2)予防療法
・群発期の禁酒
・カルシウム拮抗薬「ベラパミル」そのほか抗てんかん薬なども使用
・禁煙 喫煙者に群発頭痛が多いということより禁煙が勧められます。
・温度や気圧変化に注意すること(例:飛行機の利用を控えるなど)
・規則正しい生活
・ストレス緩和につとめる
投薬治療と並行して、ストレス対処の方法についてアドバイスを受けたり、症状によっては薬物治療を受けることも群発頭痛の緩和に役立ちます。