片頭痛治療薬の授乳時の(授乳された小児に対する)リスク
本日、マイベストプロサイトがリニューアルされました。
リニューアル後の初投稿です。
月経前症候群PMS/月経前不快気分障害PMDD 月経関連頭痛の正体は片頭痛!
ということで先日コラムを書きました。
片頭痛は女のかたに多くみられますが、それは女性ホルモンのエストロゲンが大きく関係しているからです。
月経がはじまるときにエストロゲンが急激に低下します。
これが原因といわれております。
(実際は、その他のホルモンや生化学的な変化の関連の可能性も強いのですが。)
「月経痛はお腹だけでなく頭も痛いもの!」
そう思われているかたも多いのではないでしょうか?
この頭痛は片頭痛として対応したほうがよい場合がおおくあります。
そして、月経期間中におこる片頭痛は、ほかの時期の片頭痛発作にくらべて重症度が高いことが多いのです。
したがって、片頭痛の特効薬といわれる医師の処方せんが必要になるトリプタン系薬剤の使用が推奨されています。
効果が不十分な市販の鎮痛薬を服用していると、薬剤の使用過多による頭痛(旧称 薬物乱用頭痛)におちいってしまう可能性があります。
『慢性頭痛の診療ガイドライン2013』には、「前兆のある片頭痛ではエストロゲンを含有する経口避妊薬は原則禁忌で、その他の避妊方法が勧められています。」また「前兆のない片頭痛では禁忌ではないが投与にあたり慎重な判断を要し、経過観察が必要となります。」と記載されています。
したがって、片頭痛としての対応が通常は推奨されるのですが。
片頭痛としての対応
女性ホルモンを使用せずに、急性期片頭痛治療薬や片頭痛予防薬を使用する。
わたしどもが指導する通常の治療です。
月経痛としての対応
女性ホルモンを使用する。
おそらく頭痛が主体になった場合この選択枝は好ましくない場合がほとんどです。
しかし、例外もあります。
そのときは、婦人科専門医に紹介して連携をとり治療するようにしております。
「そうなんです。まれに月経痛として女性ホルモンを使用して対応することがあります。」
「えっ?女性ホルモンは片頭痛で使用できないのでは?」
すこし片頭痛について知っている患者さんやスタッフ、お医者さんでもこのような疑問がでてきます。
そうです、女性ホルモンは前兆のある片頭痛では使用してはいけません。
頭痛の前になると目の前がきらきらと輝きはじめ、視野が欠けるなどという前兆がある片頭痛の患者さんには禁忌なんです。
脳梗塞などの重篤な疾患を合併する可能性が数倍も増えるからです。
しかし前兆のない片頭痛では女性ホルモン使用により、脳血管障害の合併率がふえるというデーターはございません。
(女性ホルモン自体が脳血管障害の合併率をふやすというデータはあります。)
「じゃあ生理痛がある片頭痛の患者さんには女性ホルモンが治療薬になるのですか?」
いえいえ、そう簡単にはいきません。
一般に、エストロゲン製剤(女性ホルモン)を使用しすると月経関連頭痛は緩和されますが、非月経関連頭痛は増悪するからです。
つまり
月経二日前から3日目までにのみ片頭痛発作が出現されるかたには月経痛のみならず、片頭痛発作にたいしてエストロゲン製剤が有効になると思われます。
そのほかのかたについては、月経痛をおさえるためのエストロゲン製剤の片頭痛に対する影響はさまざまであり、実際使用してわかるということです。
国際頭痛分類
月経中の女性の前兆のない片頭痛をつぎの二つに分類してます。
専門的な分類ですので、こんなに細かいの?と驚かれるかたもいらっしゃると思います。
A1.1 前兆のない片頭痛
A1.1.1 前兆のない純粋月経時片頭痛
すくなくとも連続三周期をこえて前向きに記録されたもの(頭痛手帳など)から、発作は月経三周期中二周期以上で月経開始日(Day1)± 2日(すなわち月経開始2日前から3日目まで)にのみ生じその他の時期には発作を認めないことが確認されている。
A1.1.2 前兆のない月経関連片頭痛
A1.1.1と月経時の時期は同様だが、その他の時期にも発作をみとめることが確認されている。
A1.1.3 前兆のない非月経時片頭痛
A1.1.1とA1.1.2以外の前兆のない片頭痛となります。
エストロゲンの濃度がさがると頭痛になる?
月経関連頭痛がそうですが、お薬のエストロゲン製剤を内服していてそれを中止しても頭痛になることが知られています。
8.3.3 エストロゲン離脱頭痛
3週間以上、毎日外因性エストロゲン(ピルですね)を摂取して、それを中断したあとに、5日以内に出現する頭痛です。
ピルの再投与がなければ、3日以内に自然に頭痛は消失します。