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相続トラブル(空き家)疎遠になった親族からハンコがもらえない

岸明生

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テーマ:相続

今回初めてコラムを投稿してみようと思います。
文章を作成することには慣れておりませんので細かい部分、誤字脱字はご容赦願います。

疎遠になった親族からハンコがもらえない


まずは誰もが経験する相続に関する私の体験談となります。

相続登記の義務化により、最近注目度が増しておりますが
本日は相続時のトラブルの一例として、疎遠になっている親族が
遺産分割協議書に押印してくれないという事例になります。

相談者C子さん(70代)来所


相談者のC子(70代)さんは、近所に住んでいたが亡くなってしまったA男さん(C子さんの兄)が生前所有していた土地(約100坪)建物(築50年以上)の処分に困っておりました。

自分の代でなんとか解消して、子供たちには引き継がせたくないと私の事務所を訪れました。

C子さんはA男さんとB男さんの3人兄妹です。

A男さんは未婚のまま亡くなり、遠方に住んでいたB男さん夫妻も既に他界しております。

B男さんにはD男(40代)さんとE子(30代)さんの2名のお子さんがいらっしゃいます。
(D男さんとE子さんは遠方に住んでいるので、幼少期以来あまりC子さんとは面識がありません。)

相続権利者の内訳


今回の相続権利者は、C子さん(相談者本人)、D男さん(甥っ子)、E子さん(姪っ子)となります。

B男さんが亡くなった後は、比較的近くで生活しているC子さんが空き家の管理をしておりました。
建物も古く維持管理が大変なので、C子さんが相続し、解体して売却等処分をしたいと考えておられました。

相続の対象が土地一筆(約100坪)と古い住宅一棟で、相続人も3人というシンプルな事例ですがスムーズには行きません。

トラブルの内容


C子さんがA男さんの土地建物を相続することに、疎遠となっているD男さん(C子さんの甥)の同意を得ることが出来きないと困っておられました。

なんとか自分の代で解決したいC子さんは、D男さんとE子さんそれぞれに約100万円ずつ「相続前」に現金を渡して遺産分割協議書に押印してもらおうと考えておりました。

C子さんは相続後に売却すれば1000万円位にはなるどろうから、なんとかなるだろうと安易な考えでいたようで、これを聞いた私はすぐに先払いはやめるようお伝えしました。

売却後実際いくら手元に残るのかをじっくり調査査定してから考えるようお伝えし調査査定完了後、改めて来所してもらうことにして、その日はお帰り頂きました。

固定資産評価額と実際の売却額との相違


C子さんが1000万円で売却出来ると考えたのには一応理由があり固定資産評価額には土地の評価額が1100万円と記載されていたことから、

このまま原状で売りに出せば誰か買ってくれるだろうと安易に考えていたそうです。

D男さんも評価額を知っていたそうで、多少の現金が自分の所にも入ると思っているみたいです。

それが今回の落とし穴でありトラブルの原因の一つです。

いくら土地の評価額が1100万円であっても、築50年以上の古い建物が建ったままの土地を太田市の田舎では誰も購入しません。

不動産売却に要する各種費用


不動産として「商品化」し、売却するには最低限下記費用を要します。※あくまでも参考価格です

□ 現況測量・隣地との境界確定費用 約50万円
□ 既存建物解体・既存樹木伐採抜根費用 約250万円
□ 水道引込工事費用(古い水道管は建替時再利用出来ない為) 約50万円~100万円(※もっとかかる場合有り)
□ 外周土留工事 約70万円
□ 相続登記費用 約15万円(評価額により変動)
□ 売却時に不動産業者へ支払う仲介手数料 約30万円

商品価値としての査定金額


今回の対象物件は県道沿いにあり評価額こそ1100万円ですが、立地にもよりますが住宅用地として対象物件付近の県道に接していることはマイナスであり、
住宅用地として売却出来たとしても、良くて600万円と査定しました。

600万円(売却価格)-435万円(必要経費)=165万円(手残り)

165万円の手残りには税金も加算され、健康保険税も付加されます。

もしも先に、D男さんとE子さんにそれぞれ100万円ずつ支払っていたら、マイナスでした。

上記事例を資料を基にC子さんに説明したところ

「先にお金を渡さないで良かった。本当にありがとう」

と感謝して頂けましたが、このままでは何も解決せず一歩も前に進んでおりません。

相続権利者への説明


D男さんとE子さんに、近隣相場を基にそもそも600万円で売却することも難しく、売却するにあたっても多額の費用を要することを各種資料・業者さんの各種見積もりを提示し今回の対象物件の金銭的価値を理解してもらうよう努めました。

そして、売却後手残りを残すことが出来た際はC子さんから多少の謝礼を渡す気持ちがあることも伝えました。

すると、当初は乗り気では無かったD男さんも少し前向きに考えてくれるようになりました。

D男さんは
「疎遠だった親戚から、ある日突然相続したいからハンコを押してくれと言われ、知らない土地だし当初は正直かかわりたくないと思ってました。誰が悪いというわけでも無いが、自分にも権利があるのであれば多少なりとも尊重してくれれば出来ることは協力したい」

とお話ししてくれました。

日頃からのお付合いの重要性


C子さんにお伝えしたところ、疎遠ではあるけど自分にとっては大切な甥っ子姪っ子なので、
今回のことで関係がこじれてしまうことがとてもつらかったそうです。
今後はたまには電話なり手紙でも出してみようと思ったそうです。

コロナ禍もあり、身内同士でもなかなか顔を合わせる機会が少なくなってしまいましたが、
皆さんも大切な方にたまには電話やメール1本送ってみてはいかがでしょうか。
きっと喜ばれると思います。

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岸明生
専門家

岸明生(不動産業、行政書士)

SENSE(不動産)・行政書士岸明生事務所

不動産売買に特化したSENSE(不動産)にて売買・査定・提案まで、土地活用に特化した行政書士として法定調査・各種申請から相続・遺言書作成のサポートや、農地転用・開発許可申請で豊富な経験知を発揮。

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