PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

企業の問題解決策を形にして、導入までを支援するコンサルタント兼システム開発者

ITやロボットを駆使した課題解決型システム開発のプロ

石郷祐介

石郷祐介 いしごうゆうすけ
石郷祐介 いしごうゆうすけ

#chapter1

立場は同じ目的を目指す伴走者。業種を問わず幅広く対応できるIT技術と専門知識が強み

 石郷祐介さんが代表を務める「4D Pocket」は、特定の分野や技術に特化したり、あらかじめ用意したサービスを提供したりするベンダーではありません。企業が抱える課題の抽出、プロトタイプ(試作品)の作成、ユーザーテスト、導入と一連の工程を支援するコンサルティング型のシステム開発会社です。

 「前半がコンサル、後半が研究開発のイメージです。同じ目標を目指す伴走者の立場で、新しいことをやってみたいけど何をどうしていいか分からない、そんな企業さんの力になりたいと考えています」

 大手メーカーから町の飲食店まで、業種や規模を問わずクライアントを的確にサポートする石郷さん。その背景には、研究機関や産業高度化事業などイノベーションの第一線で培った幅広い知見があります。

 「事例の数だけ当社の事業がある。だから捉え所のない会社」と話すように、手掛けた案件は実にさまざま。アプリやサーバー、センサーを用いたIoT、通行人にマッチした広告をAIが自動配信するデジタルサイネージ、ARやインタラクティブシステムを使った教育コンテンツなど、開発内容は多岐にわたります。ほかにも、自走式の案内用ロボットや演劇用ロボット、スマホをロボ化するアタッチメントまで枚挙にいとまがありません。

 「ITはあくまでも、業務効率化や集客化などを図る手段です。例えば、お客さんの大半が高齢者のお弁当屋さんなら、Webサイトの注文フォームよりチラシや電話の方が適している場合だってあります。大事なのは顧客ニーズを理解することです」

#chapter2

大切なのは「気づき」。プロトタイプの制作を通してクライアントの企業の考え方や仕組みにもアプローチ

 石郷さんの経営理念は、社会に気づきを与える道具(ツール)を提供すること。「4次元ポケット」に由来する社名にもその思いが込められています。

 「『ドラえもん(小学館出版)』では、未来の道具を巡って毎回ドタバタ劇が繰り広げられますが、2015年にドローンが首相官邸に落下した時もまさに同じ。道具が人の思考よりも先に進んだ結果、みんなどうしていいか分からず、騒動の揚げ句、規制でがんじがらめにしました。のび太の時代はどこでもドアを自由に使っていますが、ずっと先の世界では法律でしばられるんだろうなって。僕は、人の心や社会のありさまに働きかける道具を発明したいんです」

 不可能だと思っていたことがコロンブスの卵のように置き方を変える、視点を変える、つまりは、気づき一つで解決できると訴える石郷さん。システム開発における最大の障壁は、時間やお金といった経営資源ではなく、企業側の柔軟性だと指摘します。

 「工場で稼働するロボットの劣化状態を可視化したいという要望があり、計測したデータを事務所のサーバーに転送して管理する方法を提案すると、マニュアル上、ネットワークでつなぐのはダメだと。結果、危険な工場内に小型コンピューターを置き、担当者が手動でデータを引き出して事務所に運んで分析することになりました」

 企業側から、不便さを理由に当初のやり方の見直しが伝えられたのは1年後。プロトタイプを作ることは、企業の考え方や仕組みを変える意味でも有用だと言います。

石郷祐介 いしごうゆうすけ

#chapter3

スペックではなく思想や発想が重視される時代。変革の中でITの本質を捉えられるエンジニアを育てたい

 石郷さんいわく、日本のIT企業はパッケージソフトの開発に傾倒し過ぎたことによって様々な場面における対応力やノウハウが自社に蓄積されず開発力が衰えているとか。

 「専用設計が求められるために、枠を超えて細かいことに対応できない。また細分化した業務の中で決まりきった作業のみを行い、その技術を使っている理由も開発の目的も分からない。全体像を把握できないから取捨選択もできない。自分の頭で考えられない人材が育ってしまう」

 2021年、石郷さんは、柔軟性を持った問題解決能力を持つITエンジニアを養成するための学校「HOPTER TECH SCHOOL」を創設しました。根幹にあるのは「4D Pocket」同様、「幅広い技術をもって問題を解決する力」を育むことです。

 技術のオープンソース化が進み、AIも個人が無料で使える時代。素材もネット上に存在しており、かつて開発に1年を要した案件が半年、3カ月、1カ月と年々短縮化しています。

 「選択肢が増えた分、モノづくりの場面でコンサル的な要素が重要になったと感じます。昨今、注目されているDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、ITを使って生活を豊かにしていくという、形而上的な概念です。昔は具体的なスペックが重視されていましたが、今やITは思想や発想、体験といった抽象的な方向に向かっています。指示された物をただ作っているエンジニアでは太刀打ちできません。こうした変革の中で本質を捉えられる同志を育てたい、そんな気持ちで教壇に立っています」

(取材年月:2022年3月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

石郷祐介

ITやロボットを駆使した課題解決型システム開発のプロ

石郷祐介プロ

システム開発者

合同会社4D Pocket

WEBやアプリ、ハードウェア、サーバー、ロボットなど、幅広いIT技術と専門知識を土台に、コンサルティングとシステム開発を同時に実現。研究開発を通して企業の抱える課題にゼロから解決策を提案して形にする。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ岐阜に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、またはぎふチャンが取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO