相続関係のプロ
鈴木文弘
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相続関係のプロ
鈴木文弘
#chapter1
福島県郡山合同庁舎前にオフィスを構える「鈴木文弘税理士事務所」。所長の鈴木文弘さんは35年間税務署に勤務し、個人や法人の資産に関わる資産課税部門に長年にわたり在籍しました。実務の中で培った知見をもとに、中小企業の事業承継や不動産・株式の売買を手掛けるほか、相続税や贈与税といった相続分野を得意としています。
「ご家族が逝去されると、葬儀の手配や死亡届の提出など、やらなければならないことがたくさんあります。亡くなられてから1、2週間以内に役所や年金事務所で行う手続きだけでも20を超えます。また相続においては、遺言書や資産の内容を確認したり、遺産をどのように分けるかを話し合ったり、数多くのことに対応しなければなりません」
鈴木さんは、これら相続に関連する事務を網羅的に扱えるように行政書士の資格も取得し、サポートにあたっています。
「相続税の計算や申告は、税理士としての仕事です。行政書士は、遺言の執行ができるほか、財産や相続人の調査、遺産分割協議書の作成、相続人の戸籍謄本といった必要書類の収集、銀行預金の解約や名義変更などを代行することができます」
遺族は、お葬式の後もさまざまな業務に追われます。大切な人の死をいたむ暇もないほど慌ただしく過ごすことが少なくありません。そんな現状を受け、「悲しみを癒やす時間もなく、心身ともに疲弊している方々の支えになりたい。さまざまな悩みに応え、よきパートナーとして寄り添うことが私の一番やりたいこと」と語ります。
#chapter2
国民のために尽くしたいという志で、国家公務員を目指したという鈴木さん。国の財政の一翼を担う税務署で働く中で、困っている人の役に立てるよう、もっと身近で親しみやすい存在になりたいという気持ちが芽生えます。
「当時は、税金や申告に対する質問に答えることが中心でした。それぞれが抱えておられる不安や疑問などを細やかにお伺いし、助言や提案をするのは難しい場面もありました」
というのも、相続人がそろって税務署に来るということはまずありません。個別の事情だけに着目し、他の人の権利を侵害するようなことがあってはいけません。
「公務員の務めを果たすのも非常にやりがいがあり、多くのことを学ばせてもらいました。今後は経験を生かして、亡くなった方の思いを尊重し、相続人の誰もが不満なく故人の遺志を継げるように、円滑な世代交代をお手伝いしていこうと決めました」。鈴木さんは自身の信念を実現するために55歳の時に退職し、税理士として再出発を果たします。
現在は所属する税理士会で、公益活動の一環で学校や高齢者施設に赴き、講演をすることもあるそうです。
「小学校へ行くと、子どもたちは最初『税理士って何だろう?』という感じでキョトンとしています。『みなさんの暮らしにかかわる税金について、今日は一緒にお勉強しましょう』と話し始めると、徐々に興味を示してくれます。熱心に聞いてくれて、最後には『おもしろかった』とキラキラした表情を見せてくれるとうれしいですね」
#chapter3
鈴木さんが事務所を開業して間もない頃のこと。「遺産を相続していないのに相続税を徴収されたけど、そういうことってあるんですか」との声が寄せられました。
「ご親族が世を去ってすでに1年たっていましたが、まだ遺産分割協議が済んでいない状態でした。相続人の誰か一人でも納得していなければ、先に進めることはできません。しかし、相続税の申告・納付期限は亡くなった日から10カ月なので、財産を相続する前に支払いが生じてしまったのです」
鈴木さんは相続税の仕組みを一から説明。それまでは口をきくことのなかった相続人たちに集まってもらい、話し合いを重ねました。みんなの意見がまとまるよう根気よくアドバイスをして、無事に合意へとこぎつけました。
「土地・建物といった不動産は、金額が大きい上に分割しづらいのでもめる原因になります。でも、要件を満たせば評価額を軽減できる場合があります。相続にはいろんな制度があり、このケースも特例を受けることで税金は約半分になりました」
税についてよく知らないために、不利益をこうむることもあります。鈴木さんは損をしないためにも、気軽に相談してほしいと話します。
「高齢化により相続が増えているように、昨今は中小企業の経営者も年齢が上がり、事業継承が差し迫っています。みなさんが懸命に築いてきた事業を次代に引き継ぎ、末永く続けていけるよう私どもが力になります」。穏やかな口調の中に、鈴木さんの熱意が感じられました。
(取材年月:2021年11月)
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鈴木文弘プロ
税理士
鈴木文弘税理士事務所
税務署の資産課税部門で30年間勤務した経験を活かし、相続税や贈与税、不動産・株式の売買、中小企業経営者の事業承継関係などを得意分野としています。
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