吠える・引っ張るが気になり始めたら|かかりつけトレーナーを持つ安心感

「うちの子、足拭くの嫌いなんだよねー」「病院、苦手なんだよね」
レッスンやイベントでお会いする飼い主さんからよく聞く言葉です。そして決まってこう続きます。「まあ、その瞬間だけだし、嫌なものは嫌なんだからしょうがないよね」と。
その気持ち、すごくよくわかります。私自身、愛犬と暮らす一人ですから。でも、もしその「しょうがない」の裏で、愛犬が必死に何かを伝えようとしているとしたら…。
今日は、吠えや咬みつき、唸りといった、いわゆる「お悩み行動」について、犬の立場から私の思うところを伝えさせてください。これは、福島県郡山市で犬のしつけレッスンをしている私が、日々もっとも多くいただくご相談でもあります。
目次
そのお悩み行動、「しょうがない」で終わらせないでください
まず結論からお伝えします。吠え・咬み・唸りといったお悩み行動は、きちんと向き合って改善したほうが良いです。これは間違いないと私は考えています。
「でも、ちょっと嫌がってるだけだし」「ほんの一瞬のことだから」と思われる気持ちもわかります。けれど、困っているのは飼い主さんだけではないのです。むしろ、いちばん苦しい思いをしているのは、犬たち自身かもしれません。
私はいつもこうお伝えしています。吠え・咬み・唸りは、犬たちの「最後の叫び」だと。彼らは「嫌だ」「怖い」という気持ちを、最初はもっと小さなサインで伝えようとしています。それが伝わらないから、だんだん声が大きくなり、最終的に吠えたり咬んだりという形になってしまう。つまり、そこに至った時点で、犬の感情はすでに限界を超えているのです。
「足を拭くのが嫌い」「病院が苦手」というのも、まさにそうです。最初はそっと顔をそむけたり、体を固くしたり、小さなサインを出している。でも「その瞬間だけだから」と毎回押し切られてしまうと、犬は「軽く伝えても意味がない」と学んでしまいます。
そうして、より強い手段、唸りや咬みつきへと進んでいくのです。だからこそ、お悩み行動はその子からのメッセージとして受け止め、改善に向き合っていただきたいと思っています。
吠える・咬むは、人間でいえば「泣き叫んでいる」状態
ここは多くの飼い主さんにとって意外に思われるかもしれませんが、犬にとって「吠える」「咬む」という行動をとっている瞬間は、相当なストレスがかかっている状態です。
足を拭かれるのが嫌、という不快感ももちろんあります。でもそれ以上に、「吠える」「咬む」という行動そのものが、感情を爆発させているのと同じなんです。人間でいえば、泣き叫んでいる状態と変わりません。
想像してみてください。誰かが泣き叫ぶほど嫌がっていることを、「まあ一瞬だから」と毎回繰り返したら、どうなるでしょうか。犬たちの心には、少しずつ「嫌だ」という記憶が積み重なっていきます。
お悩み行動を改善するというのは、飼い主さんの困りごとを解消するためだけではなく、愛犬の心の負担を軽くしてあげるためでもあるのです。
「うちの子は嫌なものは嫌なんだから、しょうがない」。たしかに、嫌な気持ちそのものをゼロにすることは難しいかもしれません。そぁそ、その嫌な気持ちと少しずつ折り合いをつけていく手伝いをしてあげることはできます。
足拭きも病院も、生きていく上でどうしても必要な場面です。だからこそ、その瞬間を「我慢の時間」ではなく「大丈夫な時間」に変えていく。それが、私の考えるしつけの役割です。
咬む・唸る犬に「罰」を使ってはいけません
ここで、特に気をつけていただきたいことをお伝えします。 咬む・唸るという行動が出ているときに、「罰」を使って無理やり止めようとすることは避けてください。 逆に攻撃性を強めてしまう原因になりかねません。
私のホームページのブログでも罰のリスクについて書いていますが、罰には「早く伝わる」「行動を一時的に止められる」という側面があるのは事実です。だからこそ今も使う方がいらっしゃる。
しかし、咬む・唸るという行動はそもそも犬が追い詰められて出しているサインです。そこへさらに罰という圧力を加えれば、犬はもっと強く自分を守ろうとします。すべての子が必ず悪化するとは言いませんが、そのリスクを背負わせる必要はないと私は思っています。
私が大切にしているのは、世界基準である「LIMA」という考え方です。LIMAとは、犬にとって最も負担の少ない方法を優先しながら、その子の最善の利益を守ってトレーニングを進める国際的な指針のことです。罰で行動を抑え込むのではなく、できている瞬間に目を向けて褒めて伸ばす。遠回りに見えても、これがいちばん犬の心を守る道だと考えています。
実は、レッスンにいらっしゃる飼い主さんの多くは、つい「できていない瞬間」ばかりに目が向いてしまっています。「吠えた!うるさい!」とは気づくのに、静かにしている時間には気づきにくい。
そこで私のレッスンでは、その「できている瞬間」を一緒に探していきます。叱る回数を増やすのではなく、褒める瞬間を見つける。その積み重ねが、犬にとっても飼い主さんにとっても、いちばん無理のない変化につながっていきます。
「嫌がっているかも?」と気づいた今が、相談のタイミングです
「どのくらいになったら相談すればいいですか?」とよく聞かれます。私の答えはいつも同じで、「なんだか嫌がっているかも?」と気づいた、まさにその瞬間です。
というのも、「嫌がっているけど、今くらいなら無理やりできるし」という対応を続けていると、犬たちは「自分の”嫌だ”に気づいてもらえない」と感じて不安になります。そして「もっと強く伝えなきゃ」と、行動がどんどんエスカレートしてしまうんです。小さな唸りが、やがて咬みつきに変わっていくのは、こうした積み重ねの結果であることが少なくありません。
しかも、一度トラウマになってしまうと、それを拭い去るのは本当に大変です。だからこそ、早ければ早いほどいい。今すでにお悩みを抱えていても、決して「遅い」とは思わないでください。気づいた今こそが、愛犬のために動き出す絶好のタイミングです。
そして私がいつもお伝えしたいのは、しつけは「今の愛犬がダメだから通うもの」ではない、ということです。もっと愛犬と仲良くなるため、もっと一緒に楽しい時間を過ごすため、お悩み行動の改善はそのための第一歩にすぎません。嫌だという気持ちに早く気づいてあげられれば、その分だけ、これから先の毎日を一緒にもっと楽しく過ごせるようになります。
私の教室「MAI Dog School」は、オンライン・出張・イベントに対応しているほか、郡山市の自宅での個別対面レッスンも受け付けています。「かかりつけ病院」ならぬ「かかりつけトレーナー」として、気軽に相談できる場所でありたいと思っています。
愛犬とのこれからを、今よりもっと楽しい時間にするために。詳しい考え方は、こちらの記事もぜひご覧ください。(今よりもっと愛犬を大好きに)
まとめ
吠え・咬み・唸りは犬の「最後の叫び」です。罰で抑え込むのではなく、その気持ちに早く気づいて寄り添うことが、愛犬の心を守る一番の近道だと私は思っています。
・愛犬の吠え/咬み/唸りに困っている
・「嫌がっているかも?」と最近感じることがある
・罰を使わず褒めて伸ばすしつけを取り入れたい
このような方は、MAI Dog School(福島県郡山市)へ、どうぞお気軽にご相談ください。


