返報性の原理で読み解く、ノベルティがビジネスに効く理由

星野貴郎

星野貴郎

テーマ:ノベルティ

試食買う主義

スーパーの試食コーナーで、つい商品を買ってしまった経験、ありませんか?
「試食させてもらったし、何か買わないと悪いな...」
この心理、実は偶然ではありません。そこには「返報性の原理」という、人間の本能的な心理メカニズムが働いているのです。
今回は、なぜノベルティがビジネスに効果的なのか、心理学の「返報性の原理」から読み解いていきます。

返報性の原理とは?

「もらったら、返したくなる」本能

返報性の原理とは、人から何かをもらったり、親切にされたりすると、お返しをしたくなる心理作用のこと。
社会心理学者ロバート・B・チャルディーニ氏が著書「影響力の武器」で紹介し、広く知られるようになりました。
これは、人間が社会的な生き物として進化してきた中で身につけた、本能的な心理です。

有名な「飲み物の実験」


心理学者デニス・リーガンが行った実験が、この原理をよく表しています。
大学生を2人1組にして、以下の2パターンで実験しました。

Aパターン:
仕掛け人が自分の飲み物だけ買ってきて、後で福引券の購入を頼む

Bパターン:
仕掛け人が相手の分の飲み物も買ってきて、後で福引券の購入を頼む

結果は驚くべきものでした。
Bパターンの福引券購入率は、Aパターンの2倍!

たった一杯の飲み物が、相手の行動をこれほど変えるのです。

ノベルティが効く、心理的な理由


では、なぜノベルティがビジネスに効果的なのでしょうか?返報性の原理から考えてみましょう。

理由1:「無料」の好意が心に残る

ノベルティは、無料で配られます。
「買ってください」という条件なしに、一方的に与えられる。この「無償の好意」が、強い返報性を引き起こすのです。

理由2:「何かお返しをしなきゃ」という気持ち

ノベルティを受け取った人は、無意識のうちにこう感じます。
「企業から何かもらった」
「何もお返ししないのは、申し訳ない」
この心理が、商品購入や、サービス利用への意欲につながります。

理由3:形のあるものは、記憶に残る

デジタル広告と違い、ノベルティは「手に取れるもの」です。
物理的に受け取る行為は、記憶に強く刻まれます。
そして使うたびに、「あの会社からもらったな」と思い出すのです。

返報性の原理、4つのパターン


実は、返報性の原理には4つのパターンがあります。

1. 好意の返報性


好意や親切を受けたら、好意で返したくなる。
これが、ノベルティに最も関連する心理です。

2. 敵意の返報性


攻撃や悪意を向けられたら、同じように返したくなる。
逆に言えば、対応が悪い企業からは離れていく、ということです。

3. 譲歩の返報性


相手が譲歩したら、こちらも譲歩したくなる。
「値引きしてくれたから、少し高いけど買おうかな」という心理です。

4. 自己開示の返報性


相手が本音を話してくれたら、こちらも心を開きたくなる。
営業やコミュニケーションで重要な心理です。

ノベルティ配布=ビジネスの第一歩


返報性の原理を理解すると、ノベルティ配布がビジネスの第一歩だとわかります。

「先に与える」ことの威力


ビジネスの基本は「ギブ・アンド・テイク」。でも、どちらが先か?
答えは「ギブが先」です。
先に価値を提供した側が、返報性の原理によって有利な立場に立てるのです。

ノベルティは「ギブ」の代表例


ノベルティは、まさに「先に与える」行為です。
何の見返りも求めず、まず相手に価値を提供する。この姿勢が、相手の心を開くのです。
「あの会社、感じいいな」という印象
ノベルティをもらった人は、こう感じます。
「無料で良いものをくれた」
「親切な会社だな」
「何かあったら、この会社にお願いしたい」
この好意的な印象が、将来のビジネスにつながります。

具体的なビジネスシーンでの活用


返報性の原理は、様々なビジネスシーンで活用できます。

展示会・イベント


名刺交換の際に、実用的なノベルティを渡す。
この小さな好意が、後日の商談につながる可能性を高めます。

年末の挨拶回り


取引先に、カレンダーやタオルなどを持参する。
「いつもありがとうございます」という感謝と共に渡すことで、来年も良い関係を続けたいという気持ちが伝わります。

新規開拓の営業


初めて訪問する企業に、手土産としてノベルティを持参する。
まだ取引がない相手でも、好意を受け取ってもらうことで、話を聞いてもらいやすくなります。

従業員へのギフト


社員に対して、記念品やSWAGを配る。
会社からの好意を受け取ることで、帰属意識やモチベーションが高まります。

注意すべきポイント:やりすぎは逆効果


ただし、返報性の原理には注意点もあります。

1. 見返りを求めすぎない


「ノベルティ渡したんだから、買ってよ」という態度は逆効果です。
あくまで純粋な好意として渡し、相手の判断を尊重することが大切です。

2. 相手の負担にならない程度に


高価すぎるものや、頻繁すぎる贈り物は、相手にプレッシャーを与えます。
「お返ししなきゃ...」という義務感が、かえってストレスになってしまうのです。

3. 相手が本当に喜ぶものを


実用性のないもの、センスの悪いものは、好意として受け取られません。
「こんなもの...」と思われては、返報性どころか、逆にマイナスイメージです。

4. しつこい勧誘は禁物


無料体験を提供した後、しつこく勧誘するのはNG。
SNSで悪評が広がり、企業イメージを損ないます。

日本文化と返報性の原理


実は、日本は返報性の原理が特に強く働く文化です。

「お礼・返礼」の文化


お中元、お歳暮、バレンタインデー、ホワイトデー...。
日本には、「もらったら返す」という習慣が根付いています。

「義理を重んじる」国民性


義理堅い日本人にとって、何かをもらって何も返さないことは、居心地の悪いもの。
だからこそ、返報性の原理は日本のビジネスシーンで特に効果的なのです。

まとめ:心理を理解して、誠実に活用する


返報性の原理は、ノベルティがビジネスに効く理由を説明する、強力な心理法則です。

人は、もらったら返したくなる。

この本能的な心理を理解することで、ノベルティの価値がより深く理解できます。

でも、忘れてはいけないことがあります。

返報性の原理は、相手を操るためのテクニックではありません。

相手との信頼関係を築き、良い関係を長く続けるための手段です。
だからこそ、誠実に、相手の立場に立って活用することが大切です。

名入れギフトJORIOは、お客様との良い関係を築くお手伝いをしています。
「喜ばれるノベルティ」を選ぶこと。
「押し付けがましくない」タイミングで渡すこと。
「見返りを求めない」誠実な姿勢で臨むこと。
これらを大切にしながら、ノベルティ戦略をご提案いたします。
先に与える企業が、最後に選ばれる。
返報性の原理を味方につけて、ビジネスを成功させましょう。

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星野貴郎
専門家

星野貴郎(名入れギフトの加工販売業)

株式会社ジョリオ JORIO Co., Ltd.

贈る喜び、受け取る喜び、お返しする喜びを繋げ、人と社会の関係構築に貢献する。赤ちゃんと同寸の神社仏閣御用材で作る「お身丈命名書」の販売。7月10日「名入れギフトの日」制定など文化活動に尽力。

星野貴郎プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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