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発達のメカニズムに即したプログラムで、生きづらさや学びづらさを感じている子どもたちの未来を明るく

子どもの発達や学習に悩む保護者・支援者をサポートするプロ

安部知世

子どもの発達や学習に悩む保護者・支援者をサポートするプロ 	安部知世さん
保護者の声に傾聴する安部知世さん

#chapter1

発達障がいの子どもに必要なのは安心感と自己肯定感と自尊心

 注意欠陥多動性障がい(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)、学習障がい(LD)など、新聞やテレビなどで取り上げられる子どもの発達障がい。コミュニケーションに悩みを抱えていたり、落ち着きがなかったり、読むことや計算だけが極端に苦手だったりと、症状は人によってさまざまです。そのため、保護者をはじめ、子どもの周囲にいる人の中には、子どもとどのように関わっていけばよいのか悩む人も少なくありません。

「大切なのは、子どもは発達する力を持っていると信じること。子どもの多くは、自分の不得手な部分に気づき、生きづらさや学びづらさを感じています。子どものできないことではなく、できることに焦点を当て、子どもの自己肯定感や自尊心を高めていきましょう」とアドバイスをするのは、医療保育専門士としての勤務経験を生かし、2015年から発達障がいの子どもとその保護者のカウンセリングを行う安部知世さん。「発達支援 ほほえみ」の代表です。子どもの潜在能力や可能性を引き出す「ブレインジム」と「MBL(BBA)」を学んでからは、それらを含めて教師や保育士など支援職向けの講演やセミナーも行っています。

「ブレインジムとMBLは、子どもの能力向上を目指してアメリカで開発されたプログラムです。その要素を日常生活や遊びの中に取り入れ、発達障がいの子どもの生きづらさや学びづらさを解消できるよう、お手伝いしています」と安部さんは話します。

#chapter2

カウンセリングでは保護者の心のケアも

 安部さんが発達障がいの子どもと関わるきっかけとなったのは、児童養護施設でのボランティア活動でした。

 友だちと仲良くなりたいのに自分の行動や感情をコントロールできない、仲良くなりたいのに友だちと遊べないといったコミュニケーションが苦手な子どもや、初対面の人の膝に座ったり、べったりくっついてきたりする子どもを見ながら、子どもが抱える心の傷を感じていました。安部さんは、子どもの心のケアができる保育士になろうと決意し、資格を取得後、保育園で働き始めます。さらに心理学など子どもの心についての学びを深める中、発達障がいが専門の藤川子ども心療クリニックに転職。実務経験を積み、病児保育や障がい児保育などに関わる医療保育専門士の認定も受けました。

「クリニックでは、子どもの心のケアには、保護者の心のケアが必要であることを学びました。保護者は、子どものために何かしてあげたいのに、その方法が分からず、自分はだめな親だと思って自分を責めています。子どもにガッーと言ってしまって、自己嫌悪に陥ることもあります。いつも子どものことを気にかけなくてはならないので、心も体も休まりません。そんな保護者の苦しい胸の内を院長先生が受け止め、認め、ねぎらっていくと、保護者は元気を取り戻していました。保護者の気持ちが変わると、子どもも元気になるんです」

 子どもの心のケアと保護者の心のケアが両輪のように回ってこそ、子どもの心は回復する。この信念の下、安部さんは保護者のカウンセリングにも力を入れています。

講座でのブレインジムとMBL体験風景

#chapter3

五感を刺激し、脳の発達を促すブレインジムとMBL(BBA)

 安部さんが取り入れている「ブレインジム」と「MBL(BBA)」は、子どもが簡単な動きをしたり、子どもの体をやさしくマッサージやタッピングしたりすることで、脳に働きかけ、子どもの学習やコミュニケーション、発達障がい特有の行動やふるまいの向上につなげていくプログラムです。

「不思議に思われるかもしれませんが、これは体に刺激を与えて子どもの五感や無意識感覚を育てているのです。視覚や聴覚、触覚などの五感や前庭覚などの無意識感覚は、子どもの脳が発達していく上で土台となるものです。発達障がい特有の行動やふるまいをする、学習についていけない、運動やコミュニケーションが苦手という子は、五感や無意識感覚の外からの刺激を受けたり、自ら動くことで発達します。一人一人の発達段階に合わせて、その子どもに必要な意味のある動きを何度も繰り返すことで、脳を活性化させ、発達を促していきます。その結果、苦手意識を克服した子どもは自信を持ち、気持ちも行動も変化していきます」

 ブレインジム170とMBL(BBA)が日本に紹介されて数年しか経っていないこともあり、これらについて知る人は多くはありません。それでも、最近は子どもへのアプローチ法として学びたいという人も増えました。そのため、教育や保育などの現場で実践してもらえるよう、藤川こども心療クリニックで学んだことも含めてさまざまな講習会を開催しています。

「発達障がいだからとあきらめないでください。発達や学習を伸ばしていけば、子どもの自己肯定感や自尊心が育ちます。そして子どもに夢や希望が生まれ、未来が明るくなります。もっと多くの人がこの発達プログラムを知ることができれば、その人の周囲にも希望を与えることができると思います」

(取材年月:2020年2月)

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専門家プロフィール

安部知世

子どもの発達や学習に悩む保護者・支援者をサポートするプロ

安部知世プロ

子どもの心のケアカウンセラー

発達支援ほほえみ

行動やふるまい、成績向上へと導くことで、子どもの自己肯定感と自尊心を高めることができる。子どもに自信やチャレンジする心が生まれ、子どもの笑顔が見られる。ブレインジムやMBLは、多様な職種に活用できる点

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