自然を感じる感性が、豊かな空間をつくる

バリ島に来るたびに、建築や住まいのあり方について考えさせられます。
豪華なヴィラやリゾートも多い一方で、同じくらい地元の方の住宅が並んでいます。
決して特別な素材を使っているわけでもなく、最新の設備があるわけでもありません。
それでも、どの家も無理がなく、この場所にちゃんと馴染んでいるように見えます。
強い日差しをどう受け流すか。雨の多い季節をどうやり過ごすか。風をどう通し、熱をどう逃がすか。
バリ島の住まいは、そうした環境条件を前提としてつくられていて、「こうしなければならない」という力みをあまり感じません。
現場を見ていても、日本のように細かく管理された進め方とは違い、その日の天気や人の集まり方によって自然に段取りが変わっていくことも多い。
最初は戸惑う場面もありますが、次第にそのリズムのほうがこの土地には合っているのだと感じるようになります。
無理に整えすぎない。すべてをコントロールしようとしない。
環境や人の流れを受け入れながら形をつくる。
バリ島の建築には、そんな姿勢が静かに染み込んでいるように思います。
日本と同じやり方が、そのまま通用するわけではありません。
けれど、「その土地に合った住まいを考える」という本質は、どこでも変わらないはずです。
バリ島での経験は、特別なデザインを学ぶというよりも、建築に対する構え方をあらためて見つめ直す時間になっています。
この場所で感じた感覚を、日本での住まいづくりにも、少しずつ還元していけたらと思っています。



