自然が好きな人へ。どんな家をつくりたいか、まだ言葉になっていなくて大丈夫

家は完成して終わりではなく、暮らしとともに育っていきます。
家づくりをしていると、
新築の美しさこそ家の魅力だと捉える方も多いようです。
もちろん、出来上がったばかりの家には特有の美しさがあります。
でも私は、家は住み始めてからが本番だと思っています。
家は、人の暮らしに寄り添いながら
少しずつ表情を変えていく生きもののような存在です。
たとえば、朝の光が差し込む場所には自然と家族が集まり、
午後は風が抜ける場所で読書や昼寝をしたくなる。
そんな「暮らしの動線」が家の中に刻まれていくと、
その場所はより心地よい“自分たちの空間”になっていきます。
また、長く住むほど、
「ここに植物を置いてみよう」
「少し棚を足してみよう」
「この景色をもっと生かしたい」
という気づきが生まれ、
家が少しずつ“自分らしく”育っていきます。
それは豪華なリフォームではなく、
ほんの小さな手入れや工夫の積み重ねで十分です。
家づくりは、完成した時点ですべてが整っている必要はありません。
むしろ“余白”があった方が、
住む人の変化に合わせて自然に育っていきます。
私は設計するとき、
「完璧に固めすぎない」
ということを大切にしています。
最初の打ち合わせから固定された回答を出すのではなく、
“どんな暮らしをしてみたいか” を一緒に探しながら、
少しずつ形を整えていく。
完成した家がゴールではなく、
そこから始まる暮らしが、
年月とともに心地よく変化していくこと。
その余白を残すことが、
長く愛される家につながるように思います。
「時間と共に家が馴染んでいく」
その感覚を楽しみながら、
あなたらしい暮らしを一緒に育てていけたら嬉しく思います。



