自然が好きな人へ。どんな家をつくりたいか、まだ言葉になっていなくて大丈夫

家づくりの相談を受けるとき、
最初から「間取りのことを決めなきゃ」と思ってしまう方が多いようです。
でも実際には、間取りの前にもっと大切なことがあります。
それは『好きな景色を見つけること』 です。
たとえば、朝の光が差し込む窓辺が好きな人もいれば、
夕方の柔らかい影が落ちる庭の景色が落ち着く人もいる。
風が抜ける気配が好きな人もいれば、
雨の音を静かに聞ける空間が心地よい人もいます。
その「好き」は人によって本当にさまざまです。
そして、家づくりのスタートラインは、
その小さな「好き」に気づくところから始まります。
だから私は、いきなり図面の話をするのではなく、
まずはゆっくり一緒に景色を探すところから始めます。
「朝、どこでコーヒーを飲みたいですか?」
「窓から見える風景は、どんなものが理想ですか?」
「どこに座ったとき、どんな光が入ってきたら気持ちいいですか?」
そんな会話を重ねていくと、
間取りは不思議なくらい自然に形になっていきます。
間取りというのは、
頭の中で数字を並べてつくるものではなく、
『景色の翻訳』 のようなものだと私は思っています。
南の光をどう取り込むか、
東の朝日をどう迎えるか、
どの窓が風をつなぐか、
どんな高さなら空がきれいに見えるか。
そうした自然の動きと、
あなたが大切にしたい景色が重なる場所に、
リビングやダイニングやデスクの位置が決まっていきます。
もちろん、最初から完璧に言葉にできなくても大丈夫です。
むしろ、うまく説明できないほうが普通です。
「こんな感じが好きなんです」
「よく分からないけど、何か落ち着きます」
そんな曖昧な気持ちが、間取りの原石になります。
家づくりは“正解を当てる作業”ではなく、
一緒に景色を探し、一緒に悩み、
少しずつ形にしていく時間です。
好きな景色がひとつ見つかれば、
それだけで家づくりは大きく前に進みます。
あなたが大切にしたい景色を、
ぜひ一緒に探しにいきませんか。



