落葉樹とすだれで、やわらかな夏の日差しを

かつて土は、屋根や壁など建物を支える大切な素材として使われてきました。
しかし現代では、工期の短縮やコストを優先するあまり、現場で土を見ることはほとんどなくなりました。
化学物質を含まない土は、人体にやさしく再利用も可能な環境負荷の少ない素材です。
さらに、調湿性・断熱性・防音性・防火性にも優れた、まさに“自然がつくった理想の建材”といえます。
私はその魅力を改めて見つめ直すため、オフィスのエントランスに“洞窟のような土壁空間”を設けました。
そこに立つと、土特有の柔らかな光と静けさに包まれ、自然と深呼吸したくなります。
豊かな空間とは何か。
その答えを探る中で、土という素材が再び私たちの暮らしに寄り添う日が来ることを願っています。



