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クラウドファンディングやってます。その原点

八木佐織

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テーマ:障がい児という考え方

短大の幼児教育学科に進んだ私は、哲学の時間や心理学、子どもの発達心理学の授業がとても楽しかったことを覚えています。実習では、幼稚園や保育所、重度心身障がい者施設、障害者施設など、様々なところへいきました。

私は14歳の少年式の時に「将来は人のためになる仕事がしたい」という作文を読みました。
が、この障がい者施設の実習を通して、自分がいかに偽善者だったのか、思い知ることになりました。
障害者施設では、知的発達の遅れのある方、耳が聞こえない方、自閉症者(当時はまだあまり世に知られていませんでした)等との出会いがありました。
食事やトイレ、入浴のお手伝い、授産作業所で一緒にウエスづくり、散歩などと毎日の業務を楽しんでさせてもらいました。また、その施設の職員さんにO先生という方がおられました。O先生は、自閉症者がパニックを起こして、自傷行為で壁に頭を打ち付けたり、ジャンプしながら叫んだりするときに、じっとその人の目をみて、気持ちを落ち着かせることができる方でした。「目を見ている時には、何を思っているのですか?」「どうしてそんなに落ち着かせることができるのですか?」私はたくさんたくさん質問をしました。
けれど、いつも穏やかに笑っておられるだけでした。

その施設の利用者さんの中に、いつも居室に入らずに廊下の隅で毛布を抱いてうずくまっている22歳のHさんという方がおられました。今から30年ほど前のことですから、まだ、座敷牢というものが存在をしている時代でした。まさに、家の中の一定の部屋で過ごしてきた彼女は、立ち上がっても常に前かがみで腰をかがめていました。それは、腰をかがめた高さに天井がある場所でしか過ごしてこなかったということを表しています。
表情はなく、発する声は喉を鳴らすような音がたまにする程度でした。
私は、O先生に習って、彼女の前にかがみじっと目を合わせて過ごしました。はじめは、すぐに目を反らされ、横を向いてしまわれました。長い時間居られるのも嫌だろうと思い、1日一回時間を決めて会いにいきました。実習は3週間で終わってしまいましたので、その後は週末や長期休暇中を利用してボランティアとして働かせてもらい、Hさんの所にも通いました。Hさんは徐々に目を合わせてくれるようになりました。ひょっとして私を待ってくれている?という表情も出てきました。私は歌が好きなので、Hさんに歌を歌ってみたりもしました。童謡を歌うとニコニコすることもありました。そして、通い続けて3カ月、ある日彼女と握手をすることができました。そこからは立ち上がってくれて、一緒に散歩ができるまでになりました。この時に、私を受け入れてくれたことへの感謝で胸がいっぱいになりました。

何かをしてあげるという行為は、自分の自己満足でしかなかったと思い知らされました。母は私の一挙手一投足に対して注意をしてきました。私の服まで彼女が決めました。そんな生活しか知らなかった私に、彼らはありのままの私を許してくれたのです。人対人として、彼らの苦手なことをお手伝いさせてもらい、彼らは私を許してくれる。
社会とは補い合って生きていく場所だと教えてくれました。これこそが、当時は、ノーマライゼーションという言葉でしたが、現代ではインクルージョンということだと思います。

ここまで、読んでいただいた方にお知らせをさせてください。
そんなインクルーシブな社会を作るために、今、クラウドファンディングに挑戦しています。
ぜひ、一度、私の夢をお読みください。できましたら、ご支援をよろしくお願いいたします。
以下のURLがクラウドファンディングページです。
https://readyfor.jp/projects/kizahashi

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八木佐織
専門家

八木佐織(障がい児通所支援事業)

一般社団法人きざはし

多機能型児童発達支援及び放課後等デイサービス「おくらっこくらぶ」を運営しています。コミュニケーションを通じた社会性の獲得や、自然の中での遊びによる感覚統合などに力を入れています。

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