連載第8回 任せる事、責任をとる事

城戸景子

城戸景子

経営者のためのビジネスマナー第8回は、仕事の任せ方と責任の取り方についてのマナーです。

経営者にとっての究極の役割

経営者はいうまでもなく、すべての社員の上司にあたるわけですが、

上司が果たすべき役割には、『指示、教育、責任』があります。

この中で最も重要な役割は何か、ご存じですか?

それは「責任をとること」です。

社員に仕事を任せ、そして責任をとる。

「責任をとるために経営者がいる」と言っても過言ではないでしょう。

第一回のコラムから触れている、山本五十六の言葉ですが、

有名な“やってみせ”のくだりの続きはこうです。

“話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず
 やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず”

仕事を任せるのは、社員を教育し育てるためです。

そして仕事を任せた結果、ビジネス上のトラブルが発生したら、

そこで初めて経営者の出番です。

経営者であるということは、自社の社員が起こしたことはすべて自分の責任と考える。

これこそが、社員から信頼され敬愛される、あるべき経営者の姿です。 
                             ビジネスマナー研修・セミナーの概要

任せるために必要なこと

仕事を任せることは、難しいことかもしれません。

自分が手を出したほうがスムーズにいくのにと思うこともしばしばではないでしょうか。

しかしそこで経営者が前に出てしまうと、いつまでも社員は育ちません。

社員に仕事を任せるためには、その社員がビジネスで必要な能力を持っていることが

大前提です。しかしそれだけでは足りません。

普段から仕事に対する価値観を全社で共有することが必要です。

そのためには折に触れ、経営者の考え方を発信すると良いでしょう。

「朝礼を行う」「会社としてのスタンスを明確にするための社是を掲げる」等、

一見古臭いと思われるかもしれないことが、実は効果的である場合が多いのです。

任せるといっても、放任するという意味ではありません。

常に、何をどの程度までやっているかを把握していることが大事です。

いわば全社の動きを俯瞰するのが経営者の役割です。
                             ビジネスマナー研修・セミナーの概要

リッツカールトンの場合

世界的にそのホスピタリティの高さで有名なリッツカールトンでは、

全社員が“クレド”と呼ばれる会社としての信念を表明したカードを常に携帯しています。

“クレド“の文章は、次のようなものです。

【リッツカールトン クレド】
リッツカールトンは
お客様への心のこもったおもてなしと
快適さを提供することを
もっとも大切な使命とこころえています。

私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ
そして洗練された雰囲気を
常にお楽しみいただくために
最高のパーソナル・サービスを
提供することをお約束します。

リッツカールトンでお客様が経験されるもの、
それは、感覚を満たすここちよさ、
満ち足りた幸福感
そしてお客様が言葉にされない
願望やニーズをも先読みしておこたえする
サービスの心です。


いかがですか?

リッツカールトンのホスピタリティの高さの理由として、この“クレド”が脚光を浴びました。

しかし古くから日本の企業においても、呼び方こそ違えど、

クレドにあるような経営方針や社の使命を謳った言葉が壁に貼ってあったり、

朝礼などで唱和しませんでしたか?

リッツカールトンの成功は、このクレドを全社員が完全に理解して、

それを自分たちの行動の指針としていることです。

使命が明確であり全社としての共通認識ができているから、社員の仕事に迷いがないのです。

任せることの重要性、任せるために必要なこと、

この2点をリッツカールトンの例からご理解いただけるのではないでしょうか。
                             ビジネスマナー研修・セミナーの概要                     

責任はすべて丸ごと引き受ける

「責任をとること」が経営者の究極の役割だとお伝えしました。

さらに「責任をとる」際は、すべてまとめて責任をとることが大事です。

やってはいけない責任の取り方を以下に挙げてみます。

■「聞いていなかった。」「知らなかった。」と言い放つ経営者(あるいは上司)

これは国会答弁の場でよく聞かれるようなやり取りですが、これを言ってはいけません。
部下に仕事を任せるとはいえ、最終チェックをするのは当然のこと。
本当に知らなかったのだとしたら、それはチェックをしなかった上司の責任です。

■「部下がやってしまったみたいで申し訳ない。」と謝罪する経営者(あるいは上司)
これでは責任をとり謝罪したことになりません。
部下に責任をなすりつける様が情けないですし、何より経営者の格を疑います。

■「何をやっていたんだ」と、謝罪の場で一緒になって部下を責める経営者(あるいは上司)
言うまでもなく、これでは部下の立場がありません。
さらに先方に対しても、自社の恥をさらしていることに気付いていないケースです。
自分には責任がないことを強調しようとしているようにしか見えません。

以上は悪い例です。

あるべき経営者の責任の取り方は、「すべて自分の責任です」ということを

言葉でも態度でも表す謝罪です。その態度が、今度こそは任された仕事をちゃんと

やり遂げようという社員の向上につながることを忘れないでください。

自分が犯したミスを、社長があるいは上司が丸ごと引き受けて謝罪してくれている姿は、

百の言葉を連ねるよりも深く社員の心に訴えます。

「この人のために、この会社のために尽くそう」という気持ちを持たせることができるのです。


さて次回は、「取引先を大事にする」として、来客や訪問、電話やメールのやりとり、

接待などについてお伝えする予定です。

どうぞお楽しみに!


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最後までコラムをお読み下さいまして、ありがとうございました。


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ミューズ・ブランディング・アカデミー(株)千葉校 校長

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専門家

城戸景子(マナー講師)

STUDIO STELLA

ソフトウエア会社でトップ営業ウーマンとして活躍。その実績に裏打ちされた「見た目づくり」、「ビジネスマナー」は、ビジネスツールとして翌日から仕事に生かせる即効性が強み。

城戸景子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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