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AI「コーチングエンジン®システム」で、コールセンターの価値を高める

AIを活用しコールセンターの価値を高める専門家

沖本能道

沖本能道 おきもとよしみち

#chapter1

ベテランのような会話運びを支援し、オペレーターのストレスを軽減

 「本来〝企業の顔〟であるコールセンターの価値を高めます」と話すのは、「アクティブ・コーチング・システム」代表の沖本能道さん。オペレーターのストレス軽減と顧客満足度の向上、対応にかかる時間の短縮による生産性の改善、などコールセンターの課題を見える化。それらを解決に導くAI(人工知能)「コーチングエンジン®システム」を開発しました。特許を取得し、2021年5月からクラウド版の提供を始めています。

 沖本さんは、コールセンターのシステム構築に携わった経験から、相談窓口の多様な問題に精通。「オペレーターの離職率が約9割と高いため、いつ辞めてしまうか不安の中、欠員補充の採用が常態化。多くのオペレーターの在籍期間が短いため生産性や応対品質が上がらず、顧客満足度が低くなります」

 注目したのは、オペレーターと顧客の会話の進め方。「ベテランは会話の主導権を握り、顧客が知りたいことを引き出し、解決策を提案します。経験が浅くても同じような会話運びができれば、オペレーターのストレスは減り、顧客満足度も上がります」

 「コーチングエンジン®システム」はAIが会話の文脈を自動で把握し、オペレーターにリアルタイムで適切な応対ガイドを表示。応対記録をビックデータとして蓄積・分析し、ガイドにも反映します。「例えば顧客が怒っているとき、次にどのような言葉がけが効果的だったかを評価。より高評価の応対にアップデートし、成功体験を共有できます」と沖本さん。システムを体験した担当者から「こんなシステムが欲しかった」との声が寄せられています。

#chapter2

コールセンターの立ち上げや人材育成など、幅広い経験が開発のヒントに

 沖本さんは、企業向け情報通信機器の製造販売とシステム構築を手掛ける会社で、30年以上勤務。システムエンジニアとして、電力事業者やインターネットプロバイダ、携帯電話会社などインフラ業界のコールセンターを担当。システム開発だけでなく、コールセンターの立ち上げやスーパーバイザーの教育など、幅広く担当しました。

 ある電力事業者からの依頼で、コールセンターに寄せられたクレームを分析した沖本さん。その結果、クレームはすべて他部門に起因するものでした。

 「多くの顧客は、Webなどで解決できない場合に最終手段としてコールセンターを頼ります。オペレーターが手探りで対応し、問題を解決できなければ、企業イメージは低下し、顧客離れが起きる可能性もあります」と沖本さん。目指すのは、顧客の困りごとを社内横断的に解決できるコールセンターだと思ったそう。

 さらに応対記録のビッグデータを活用した実証実験にも従事。応対内容を分析し、ベテランに共通する会話運びの特徴などを集め、オペレーターの採用や教育に活用しました。

 これまでの経験は「コーチングエンジン®システム」の開発につながっています。「ヒントにしたのは紙芝居です。紙芝居は場面ごとに台本があり、誰でもスムーズにお話を進められます。さらにベテランは対話の中で文脈を意識し、状況や原因を特定するノウハウを持っています。個人の勘に頼るのではなく、ベテランのノウハウをシステム化した台本があれば、誰でも顧客の期待する会話運びができると考えました」

#chapter3

顧客の声が直接得られる部門は、磨けば企業の〝宝石〟に

 「コーチングエンジン®システム」は、オペレーターの教育にも有効です。スキー指導員でもある沖本さんは、コーチングスキルを教育にも生かしています。

 「スキーで未経験者を教える際、本人ができると言っても、『知らない』を前提とします」と沖本さん。知らないところから人に教えるまで成長するには、知識→行動→気付き→技術→体系化の5つの壁があると言います。

 「コーチングエンジン®システム」を導入すると、知識と行動の壁がなくなり、「やってみる」ところからスタート。オペレーターは自分で課題に気付き、スキルを高めることができます。

 「コールセンターはクレーム受付係のイメージが強いですが、オペレーターの積極的な働きかけで、消費者のこだわりやニーズをつかむこともできるのです」と沖本さん。SNSなどで発信された不特定多数の声を経営に生かそうとする経営者は少なくありません。沖本さんは、コールセンターに届く声こそ活用してほしいと期待を込めます。

 「経営面でみると、コールセンターはシステムや人件費などの投資に対する効果が低いとされてきました。一方でクレームの件数は共有しても、応対で直接得た顧客の声は経営層に届いていません。消費者と直接つながる部門は、磨けば宝石になります」

 コールセンターの真価を見直し、企業にとっても働く人にとっても魅力的な場にしたい。沖本さんの思いは「コーチングエンジン®システム」で実現されつつあります。

(取材年月:2021年7月)

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専門家プロフィール

沖本能道

AIを活用しコールセンターの価値を高める専門家

沖本能道プロ

コールセンター運用改善コンサルタント

株式会社アクティブ・コーチング・システム

カスハラの恐怖や苦しみ、覚えた記憶が出てこなかった悔しい経験から開発したAI「コーチングエンジンⓇ」で、応対中の恐怖を取り除き、顧客から感謝され、働きやすくやりがいが高いコールセンター作りが得意です。

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