【コラム第2回】一人ひとりの現状に合わせる指導とは?
大会で結果が出ると嬉しい。
それは誰にとっても素直な感情です。
でも、私がクラブの子どもたちに伝えたいのは、**「結果だけが全てじゃない」**ということ。
走ること、努力すること、失敗しても立ち上がること──
そのすべてが、成長の“過程”の中にあります。
結果は「点」、過程は「線」
大会でのタイムや順位は、その日その瞬間の「点」です。
けれど、その点をつなげるのは、日々の練習や積み重ねという「線」です。
ある中学生の選手が、自己ベストをわずか0.03秒更新できず、悔しそうな顔をしていました。
しかし、そのレース内容は見違えるほど良くなっていた。
フォームの安定、後半の粘り、そして何より「焦らず走れた」という冷静さがありました。
私はレース後にこう伝えました。
「結果は数字で見ると変わらないかもしれないけど、走りの中身はまったく別物だよ。」
努力の“過程”を大切にできる人は、どんな結果にも意味を見いだせる。
それが次の挑戦につながっていきます。
“できなかった”日も、成長の一部
練習がうまくいかない日。
走っても思うようにタイムが出ない日。
多くの子が「今日はダメだった」と落ち込みます。
でも、そんな日こそ自分を知るチャンスです。
たとえば、スタートが遅れた原因を考えたり、疲れている中で集中力を保てるかを試したり。
“できなかった”を放っておくか、次につなげるかで、その後の成長がまったく変わります。
結果が出ない日を「無駄な日」にしない。
それもまた、過程を大切にする姿勢です。
“結果が出なかった”中に見えた成長
ある小学生の女の子が、大会の100mで思うようなタイムを出せず、悔し涙を流しました。
レース後、私が声をかけると彼女はこう言いました。
「でも、最後まで力を抜かないで走れたから、少し満足してる。」
その言葉を聞いた瞬間、私は心の中で“この子は強くなったな”と思いました。
タイムという“結果”ではなく、“自分の中の課題”に目を向けられるようになった。
まさに、過程を大切にできる力が育っている証でした。
こういう気づきを重ねられる子は、どんな壁にぶつかっても折れません。
なぜなら、成長の基準を「結果」ではなく「姿勢」に置いているからです。
保護者が見守る“過程の成長”
保護者の方から「結果は変わらないけれど、取り組む姿勢が変わってきた」という声をよく聞きます。
たとえば、練習前に自分でストレッチを始めたり、仲間の応援を積極的にしたり。
そうした小さな変化こそ、子どもたちの“内面的な成長”の証です。
結果だけを見て一喜一憂するのではなく、**「どんな姿勢で取り組んでいるか」**に目を向けること。
それが、子どもたちの可能性をより深く育てていきます。
私自身も、過程の中にいる
2024年に再び100mへの挑戦を始めた私自身も、まだ“結果”は出ていません。
でも、走るたびに「課題が見えた」「昨日より動きが良くなった」と感じられることが楽しい。
タイムが出ない日があっても、「今の自分には何が足りないのか」を考える時間が、自分を成長させてくれます。
結果を焦るよりも、“成長を感じられる日々”を大切にする。
それが、私の今の競技スタイルです。
最後に
結果は努力の証ではありますが、努力の価値を決めるのは結果ではありません。
「どう向き合ったか」「どんな気持ちで続けたか」──
そこにこそ、本当の成長があります。
過程を大切にできる人は、結果が出なくても前を向ける。
そして、結果が出たときには、心から喜べる。
UACAでは、そんな“過程を楽しめる選手”をこれからも育てていきます。
次回は「継続する力 — 日々の積み重ねが生むもの」をテーマにお届けします。
どうぞお楽しみに。
追記
本日、神奈川県横浜市で開催された日清カップ第41回 全国小学生陸上競技大会にUACAに所属する小学生選手が出場したのでアップのサポートを行ってきました。
こちらの選手は昨年出場した全国大会は目標に大きく届かずかなり落ち込みました。
今年は少し彼女の満足そうな姿を見れて私も満足。
スタートがすごく良かったのでそこを褒めると嬉しそうに微笑んでくれました。
結果よりも“過程”を大切にする理由というテーマとピッタリ。
この1年間頑張ってくれてありがとう。



