保護者は高校受験にどう向き合うか
【理科】
(1)「知りえた知識の深さ」と「ヒントに気づく力」を試す出題
一般的な書店で販売されている一問一答式の問題は、今回の入試問題の中にはほぼないに等しいと言えそうです。各大問の設定を読み、それに関連する問題形式になっているので、どちらかというと「文脈に合わせて正しい知識を引き出せるか」がポイントになるような問題だったと思います。
また、設問を読んだだけでは立式できない問題もありました。
たとえば大問2(6)。表の数値を用いて解いていく問題なのですが、なぜ表の中のこの数値を求めて解くのかを理解できていた生徒は、意外に少ないと思います。これは興味深い小問なので、問い方次第ではまだまだ応用できそうです。
とはいえ、何とかして解こうとすると、この表にたどり着くはずなのですが、あきらめて解かなかった生徒や計算ミスがあった生徒も、少なからずいるはずですね。
(2)「完答問題」の比重の高さ
全体の配点の4割が「完答問題」となっており、その問題数の多さが非常に気になりました。
問題一つひとつを精査すると、セットで問うべきものや、連動性のあるものは完答であるべきですが、一方で、わけて出題できるものは、あえてわけて出題したほうが、習熟度の差は把握しやすくなります。
今後、理科を専門とする仲間の先生方と議論していく予定ですが、この完答問題については、大問ごと、小問ごとの出題意図に合わせた解答方式の検討と、問題全体としてのバランスをしっかり考慮して出題されることで、「検査」としての役割(検査による入学者選抜)をいま以上に果たせるのではないかと思います。
(参考)完答問題の配点
大問1:3点、3点 (計6点)
大問2:2点、3点、3点 (計8点)
大問3:4点、3点、4点、4点 (計15点)
大問4:3点
大問5:3点、3点(計6点)
大問6:2点 合計40点
【社会】
(1)今年度の入試で最もバランスが良かった教科
例年に比べて、やや易しく感じられた社会の入試問題。記述問題の難易度が抑えられているほか、県名(位置に関する知識も問う小問は、少し正答率が低そうですが…)や、用語問題も記号選択問題も、非常に解きやすいオーソドックスな問題だったと思います。
また、配点の細部にも配慮がなされているように感じられ、良い意味でコントロールされた問題だと判断しました。
(2)公民の大問は、2年連続で最初の問いが「秀逸」
令和5年度の大問4(1)①の「基本的人権」は、「人権」と答える生徒が大変多く、正答率は18.4%(得点率は18.7%)と大変低かったのですが、今回の入試問題でも同じ傾向が予測されます。
令和6年度の大問4(1)の「個人」も「人間」と書く生徒が多かったのではないかと推察されます。前回ほど低い完全正答率にはならないはずなのですが、条文用語を正確に答えられるかどうかは、公民科を学ぶ上では最重要ですので、こういった問題は、不定期であっても毎年であっても、複数年度連続で出題し、「出題者からのメッセージ」をぜひ発信し続けてほしいと思います。
春期講習はまもなく終盤戦。
春期講習開始前にご入塾される方が集中しまして、
気がつくと新中1クラスが「満員」になっておりました!
まだ、入塾の動きは続いております。
問題意識の高い生徒たちとともに、
より高みを目指していく塾であり続けます。
次回は、「国語あ・れ・こ・れ」をお送りする予定です。
まずは、春期講習をしっかり括りたいと思います!