環境まちづくりに強いコンサルタント
谷口庄一
Mybestpro Interview
環境まちづくりに強いコンサルタント
谷口庄一
#chapter1
都市環境プランナーとして自治体やNPO、企業などとタッグを組み、まちづくりに携わるとともに、“地域の知恵”を意識した環境イベントの開催などを手掛けるリージョナルブレインズ代表取締役の谷口庄一さん。「その土地に住む人たちが主体となった、暮らしやすい地域づくりのお手伝いをしていきたい」と意欲を語ります。
谷口さんの活躍の場は多岐にわたります。長年、都市計画や愛知万博に携わってきた技術士として、環境まちづくりのコンサルティング業務はもちろん、会議やワークショップにおいて中立な立場から一人でも多くのアイディアをすくい上げて結果を導くファシリテーターを務めるほか、講演、執筆など、幅広い分野で「環境」を切り口に活動しています。
そんな谷口さんの理念は「余分なエネルギーを使わない社会は暮らしやすい」ということ。「一口に『環境』と言っても自然やインフラのみではありません。たとえば、街のあちこちに設置されつつある防犯カメラでもそうです。これは運用を間違えると監視社会につながる可能性もあります。しかし、木陰で夕涼みができたり、子どもたちが元気に遊べたり、多くの人がより外に出て小さな出来事にも気づくような地域を目指してはどうでしょう。ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が豊かな社会は、監視カメラなどに頼るような過剰な防犯は必要なくなり、余計なコストもかからず、住みよい街ができるはずです。快適な社会というのは便利さを追求するだけでは実現しないのです」と話します。
#chapter2
都市環境学の研究者としても知られる谷口さん。これまでにも環境や都市について多くの研究や経験を積んできました。在学していた豊橋技術科学大学の大学院では、インドの大都市問題やスラムなどを研究。卒業後は、公共社会基盤整備などを手掛ける総合建設コンサルタントの日本工営に入社し、ダム建設により移転した住民のための生活再建計画を担当したり、マレーシアでハイテク工業団地の設計などを手掛けてきました。
そして転機となったのは、万博の開催を控える愛知県への転勤。万博のテーマである「自然の叡智」に基づいた基本計画づくりから携わりました。その後、13年間勤めた日本工営を退社。2002年には一念発起し、名古屋大学大学院の博士課程で「循環型環境都市の構築手法に関する研究」を行うとともに、科学技術交流財団コア研究員として文部科学省の研究プロジェクトに従事し、いかにして自分の利益よりも社会、地球のために利他的な行動を取れるかという課題に取り組んできました。
そのような研究の成果が発揮されたのは2005年の愛知万博のとき。スーパーでレジ袋を断ったり、環境イベント参加などの環境配慮行動に対して得られるスタンプや参加証を「エコポイント」化して、植樹などに寄付できる「EXPO(エキスポ)エコマネーセンター」の事務局長に就任。60万人もが訪れた人気パビリオンに成長させました。さらに、「自然を守りたい」という気持ちや行動のポイント化による可視化や、環境保全参加意識のつながりを作るという環境通貨の社会実験を成功に導いたのです。
#chapter3
「EXPOエコマネー」のように人々の環境意識を生かせる仕組みがあれば、ハードな設備がなくてもよりよい地域づくりができると確信した谷口さん。現在力を入れているのが、子どもたちがチョークで道路に絵を描いて身近なアートを楽しむ「ペイブメントアート」というイベントです。
「もとをたどれば、道路は誰のものなのか? 道路に落書きをすることから地域づくりを子どもと大人が一緒になって考えるきっかけになってほしいですね」と話します。
さらに、「地域づくりについても、これまでは国や県の考えを受け入れるだけでもよかったですが、今は違います。そこに住む人たち自らが考えなければなりません。しかも、その対象は福祉や教育、子育て、環境保全、交通、衛生、防災、防犯、公園などさまざまな分野にわたります。この中の一つがよいだけでは“いい都市環境”とはいえません。市民自らが自分たちのまちを考える場で、総合的な知見から提案できる技術士として、住みよい街をつくる仕組みや仕掛けを提案していきたいです」と笑顔で話します。
これまでの豊富な経験と深い知識。自然を大切にする理念だけではなく、身近な存在を活用し、私たちをとりまくさまざまな「環境」をより良くしようと活動するエネルギッシュな谷口さんは、頼れる地域づくりのブレインです。
(取材年月:2012年9月)
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Profile
環境まちづくりに強いコンサルタント
谷口庄一プロ
株式会社リージョナルブレインズ
自分の暮らしている“まち”を元気にしたい!と考えている方々を強力にサポート。“まち”の診断から処方箋まで提供する、地域のみなさんと一緒に考える身近なブレインです。
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