子どもの「口」が発する小さなSOSー虐待児童ゼロを目指して
こんにちわ。名古屋市港区のオリーブ歯科こども歯科クリニックです。
最近の診療の中で、「少し肌寒いだけでも子どもに厚着をさせているご家庭が増えたな」と感じる場面が増えています。
風邪をひかせたくない、体調を崩してほしくない。その気持ちはとても自然で、親として当然の感情です。
ただ、その背景を丁寧に見ていくと、ある共通点が浮かび上がってきます。
それが「お母さん自身の冷え」です。
近年、冷え性を自覚する女性は増えていると言われています。
出産後のホルモンバランスの変化、慢性的な睡眠不足、運動量の低下、育児や仕事によるストレス。
こうした要因が重なることで、体温調節や血流のバランスが崩れ、「とにかく寒い」「一年中冷えている」と感じやすくなる方が少なくありません。
問題は、この大人側の体感温度が、そのまま子どもの服装の基準になってしまうことです。
お母さん自身が寒いと、「子どもも寒いはず」と感じ、結果として必要以上に厚着をさせてしまう。
これは過保護というより、ごく自然な心理反応です。
ただし、生理学的に見ると、ここには注意すべきズレがあります。
子ども、特に乳幼児は大人より基礎代謝が高く、体の中で熱を作りやすい構造をしています。
一方で、体温を細かく調整する機能はまだ発達途中です。
そのため、大人と同じ感覚で厚着をさせると、体の中に熱がこもりやすくなります。
すると汗をかき、その汗が冷えることで、かえって体を冷やしてしまう「汗冷え」が起こります。
冷やさないために着せたはずの厚着が、逆に体調を崩す原因になることもあります。
さらに、厚着は子どもの行動や睡眠にも影響します。
体に熱がこもると、動きが鈍くなったり、機嫌が悪くなったり、眠りが浅くなることがあります。
子どもは本来、寒暖差を経験しながら「暑い」「寒い」に対応する力を身につけていきます。
常に厚着で守られていると、こうした体温調節の経験が不足し、環境への適応力を育てる機会が減ってしまう可能性があります。
ここで大切なのは、「ママの冷え」と「子どもの体」は別物だという視点です。
お母さんが寒いからといって、子どもも同じように寒いとは限りません。
子どもは小さな大人ではなく、体の作りも、熱の生み方も、感じ方も違います。
愛情からの厚着が、結果として子どもの快適さや発育とズレてしまうことがあるのです。
服装の目安としてよく言われるのが、「子どもは大人より一枚少なめ」です。
厚手の服を重ねるよりも、薄手の服を組み合わせて、暑ければすぐ脱がせられる状態を作る方が、体温調節はしやすくなります。
気温や天気予報よりも、背中に汗をかいていないか、顔が赤くなっていないか、機嫌はどうかといった子どものサインを見ることが、最も確実な判断材料になります。
私たちは、歯科医療を「歯を治すこと」だけでなく、「その人の人生の質を高めるための手段」だと考えています。
食べる、眠る、呼吸する、動く。
こうした日常の積み重ねが、子どもの発育や将来の健康を形作ります。
厚着という一見些細な習慣も、その大切な一部です。
守りすぎないことは、放置することではありません。
子どもの体の仕組みを正しく知り、必要以上に先回りしないこと。
その積み重ねが、お子さんの健やかな成長と、よりよい人生につながると、私たちは考えています。



