哺乳・発音・歯並びに影響も?“舌のスジ”がもたらす成長リスク

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:小児歯科・お子さんの健康全般について

こんにちは、名古屋市港区のオリーブ歯科こども歯科クリニックです。

「赤ちゃんがおっぱいをうまく飲めない」「発音が不明瞭」「歯並びが悪くなってきた」――これらの背景に、実は舌の裏側にあるスジ、すなわち【舌小帯】が関係しているケースがあることをご存じでしょうか。

舌小帯は、舌と口底を結ぶ結合組織で、生まれたばかりの赤ちゃんにも当然あります。本来は成長とともに自然に後方へ移動し、舌の動きを妨げなくなっていくものですが、近年はこの舌小帯が「太く・短く・残存したまま」になっているお子さまが増加傾向にあります。

舌小帯が短いと舌の可動域が狭まり、成長に伴ってさまざまな悪影響を及ぼします。具体的には、以下のような課題が挙げられます。

・哺乳障害(母乳がうまく飲めない、空気を多く飲み込んでしまう)
・発音障害(特にラ行・サ行の構音に影響)
・歯列不正(舌の位置異常による開咬・叢生など)
・口呼吸や睡眠時無呼吸の原因となることも
・咀嚼や嚥下の異常(丸呑みや偏食の傾向)

一昔前は、助産師が出生直後に舌小帯を切除する慣習もありましたが、現在の日本ではあまり行われていません。

当院では、舌小帯の状態を単体で判断するのではなく、「食べる・話す・呼吸する・飲み込む」といった総合的な機能面を評価したうえで、必要があれば切除を行なっております。

また、仮に舌小帯を切除した場合でも、その後のMFT(口腔筋機能療法)や発音訓練を正しく行わなければ、再癒着してしまったり、期待する効果は得られません。術後のトレーニングの質こそが、治療の成功を左右します。

お口の機能が成長する大切な時期だからこそ、早期の発見と適切な対応が、将来の健康と自信に大きくつながると考えています。

「なんとなく飲み込み方が変」「言葉が聞き取りにくい」「歯並びが悪いな」と感じたら、ぜひ一度、舌の裏を見てみてください。
小さな“スジ”が、大きな変化の鍵を握っているかもしれません。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

保険診療から先進的な自由診療まで幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症の治療に県内外から多くの患者様が通院しております。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

口腔機能の発達から子どもの健やかな成長を支える歯科医師

荒川大輔プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼