そのままにしていませんか?口呼吸が子どもの歯並びと健康を壊す前に
こんにちは。
名古屋市港区にあります、オリーブ歯科こども歯科クリニックです。
「子どもは甘いものが大好き」とよく言われますが、その“甘さ”にどのように向き合うかによって、お子さんの成長や健康は大きく変わってきます。
当院では「2歳までは砂糖ゼロ」を一つの目標として掲げ、ご家庭と連携しながらシュガーコントロールの大切さを伝えています。
これは単にむし歯を防ぐための対策にとどまらず、味覚や腸内環境、さらには脳の働きにまで影響する、きわめて本質的な取り組みです。
まず、砂糖が口腔に与える影響として最もわかりやすいのがむし歯のリスクです。
特に乳歯はエナメル質が薄く、むし歯菌による酸に対して非常に弱い構造をしています。
砂糖を摂取すると、口腔内の細菌が酸を産生し、歯の表面を溶かしてしまいます。
こうしたメカニズムは、糖分を摂取するたびに繰り返され、特に就寝前や間食の頻度が高いお子さんでは、歯の再石灰化が追いつかず、急速に進行することがあります。
「哺乳瓶で甘い飲み物をちょこちょこ与える」
「ジュースが水代わり」
という習慣は、知らず知らずのうちにカリエスリスクを最大化させてしまうのです。
さらに、砂糖は単なる嗜好品ではなく、依存性を持つ物質でもあります。
甘味は生理的な快感を引き起こす刺激であり、繰り返し摂取することで脳がその報酬を求めるようになります。
これは、大人と同じく子どもにおいても報酬系と呼ばれる神経の働きに関係しており、習慣化すればするほど「甘くないと満足できない」味覚へと変化していきます。
このような甘味への過度な慣れは、食事の偏りや過食、将来的な肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、脳機能のコントロールにも影響を及ぼすことが知られています。
近年の研究では、血糖値の急上昇・急降下によって集中力が低下したり、気分の浮き沈みが激しくなったりする現象が指摘されています。
こうした影響は、注意欠如や衝動性といった行動パターンを強め、「落ち着きがない」「感情のコントロールがきかない」といった状態につながることもあります。
いわゆる“キレやすい子ども”や“すぐに癇癪を起こす子”といった様子が見られる背景には、こうした糖代謝と脳神経の関係があるケースも少なくありません。
また、砂糖の摂取が腸内環境にも影響を与えることが明らかになってきました。
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、免疫や情緒、消化・吸収のバランスをつかさどる重要な器官です。
過剰な糖分は腸内の悪玉菌を増殖させ、善玉菌の働きを阻害するとされています。
この腸内バランスの乱れは、便通異常やアレルギー、慢性的な炎症反応を引き起こすだけでなく、神経伝達物質の合成にも影響を与え、子どもの集中力や感情の安定にまで関係する可能性が示唆されています。
とくに発達段階にある乳幼児では、腸内細菌の構成が定着する初期に過剰な糖分を摂ることで、その後の体質に長期的な影響を残すリスクがあるのです。
こうした身体的な問題に加え、私たちが重視しているのが「食育」の観点です。
砂糖に頼らず、素材本来の味を感じながら育つことは、味覚の成熟にとって非常に重要です。
幼少期に強い甘味に慣れてしまうと、自然な甘さや旨味を感じにくくなり、味付けの濃い食事を好む傾向が強くなります。
これは野菜嫌いや偏食を引き起こす原因にもなり、結果として食事バランスの乱れや栄養不足、食行動の不安定さへとつながります。
素材の味を楽しみ、よく噛んで味わう習慣は、身体の成長はもちろん、心の安定や食卓でのコミュニケーションにも良い影響をもたらします。
食育とは、栄養学だけでなく、子どもが“生きる力”を育む基盤なのです。
私たちオリーブ歯科こども歯科クリニックは、歯科治療だけを目的とするのではなく、お子さんの将来の人生そのものに寄り添う医療を目指しています。
だからこそ、砂糖をゼロにするという挑戦は、「むし歯予防」という一点にとどまらず、子どもたちの心身の成長を守る重要な選択肢なのです。
2歳までは“与えない”を基本に、3歳以降も“選んで与える”を意識することで、甘味との上手な付き合い方を家族みんなで育てていきましょう。
ご家庭だけで抱え込まず、悩んだときはどうぞご相談ください。
私たちは、子どもと家族の未来にとって本当に必要な情報と選択肢を、誠実にお伝えしていきます。