もしも!お口のケガ百科⑥「魚の骨が喉や歯ぐきに刺さった!?」

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:小児歯科・お子さんの健康全般について

こんにちわ。
名古屋市港区にあります、オリーブ歯科こども歯科クリニックです。

焼き魚や煮魚を食べているときに、
「あっ、骨が刺さったかも!」という経験をしたことはありませんか?
特に小さなお子さんや高齢の方では、
喉の奥や歯ぐきに魚の骨が刺さってしまう事故が少なくありません。
今回は、魚の骨が刺さってしまったときにどうすべきか、
家庭での対応と受診のポイントを解説します。

【よくある刺さり方と部位】
魚の骨が刺さる場所には、いくつかのパターンがあります。

・のどの奥(扁桃や咽頭周辺)に細い骨が刺さる
・上あごの歯ぐきや奥歯の間に骨が挟まる
・舌の裏や頬の内側に突き刺さる
・飲み込んだつもりでも、食道に引っかかっている場合も

小さな異物と思いがちですが、
放置したり無理に取ろうとすると炎症や感染を引き起こすリスクがあります。

【やってはいけない対応】
昔から「ごはんを飲み込めば取れる」と言われますが、
これは誤った対処法です。以下の対応は避けてください。

・熱いお茶やごはんを飲み込んで押し流す
・自分で指や箸、歯ブラシなどを突っ込んで取ろうとする
・骨が見えないからといって無理に咳を出させる
・「そのうち自然に取れるだろう」と放置する

これらの行動は、かえって骨を深く押し込んでしまったり、
粘膜を傷つけて炎症を悪化させてしまうことがあります。

【家庭で気をつけたい初期対応】
まずは落ち着いて、状況を正確に把握しましょう。

・刺さった場所が目で見える場合は、無理に引っ張らず、できればそのままに
・痛みや違和感があるときは、すぐに飲食を中止
・会話や呼吸に支障がある場合は、すぐに救急受診
・のどの奥に刺さっている場合は、耳鼻咽喉科の受診が必要

【歯ぐきに刺さった場合は歯科へ】
魚の骨が歯ぐきや歯と歯の間に刺さった場合、
目に見えても無理に自分で取ろうとせず、歯科で処置を受けるのが安全です。

・ピンセットや爪楊枝で無理に取り出すと、歯ぐきを傷つける恐れ
・骨片が折れて中に残ると、感染や腫れの原因になる
・違和感だけが残る場合も、小さな骨片が埋まっていることがあります

歯科では、適切な器具と視野で安全に除去が可能です。

【こんな症状があればすぐ受診】
以下のような症状が出た場合は、早めの受診が必要です。

・刺さったまま24時間以上痛みや違和感が続く
・喉や口の中に赤みや腫れが出てきた
・発熱や膿が出る
・飲み込みにくさ、息苦しさがある
・骨が抜けたが、痛みや違和感が残っている

目に見えない場所で感染が広がると、
入院治療が必要になることもあります。

【まとめ】
魚の骨が喉や歯ぐきに刺さったときは、小さな異物でも油断は禁物です。
自己判断で対応せず、専門の医療機関で確認するのが安心・安全です。

1.無理に取ろうとせず、まずは落ち着いて観察
2.痛みや違和感があれば、迷わず歯科または耳鼻科へ
3.家庭での「民間療法」には注意!

次回は、「異物を口に入れてしまったときの対応」についてお届けする予定です。
お子さまの“うっかり”や“興味本位”が重大事故にならないよう、
一緒に正しい知識を備えていきましょう。

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荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

保険診療から先進的な自由診療まで幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症の治療に県内外から多くの患者様が通院しております。

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