もしも!お口のケガ百科⑤「まさかの危険がすぐそこに!歯ブラシの喉つき事故」

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:小児歯科・お子さんの健康全般について

こんにちわ。
名古屋市港区にあります、オリーブ歯科こども歯科クリニックです。

毎日の習慣である「歯みがき」。
とくに子どもにとって、歯ブラシは身近で無害な道具のように見えます。
しかし実は、歯ブラシがのどに刺さる事故が、
救急搬送に至るような重大外傷として報告されていることをご存じでしょうか?
今回は、意外と多い「歯ブラシの喉つき事故」について、その原因・リスク・予防策をご紹介します。

【どんなときに起こるの?】
喉つき事故は、以下のような日常のちょっとした行動の中で起こります。

・歯みがき中に歩き回る
・椅子や台の上で歯を磨く
・きょうだいや親とふざけながら磨いている
・親が歯を磨いている最中に子どもが急に動いた

とくに1〜4歳の幼児に多いとされ、
油断したすきに転倒して歯ブラシがのど奥に刺さるという事故が実際に起こっています。

【実際の事故の例】
・歯磨き中に兄弟にぶつかられて転倒し、歯ブラシが喉の奥に突き刺さった
・保護者が仕上げ磨き中に、子どもが突然起き上がり、上あごに強く当たった
・口にくわえたまま走り回り、転倒して口腔内を裂傷した

こうした事故では、出血・腫れ・呼吸障害・感染症といった重篤な症状につながることもあります。

【家庭でできる予防策】
小さな習慣が、大きな事故を防ぎます。以下のポイントを日々の生活に取り入れてみてください。

・歯みがきは必ず「座って」行うこと(イスに深く腰かける)
・磨いている最中は、歩かせない・動かせないように注意
・歯ブラシは年齢に合ったサイズ・やわらかめの素材を選ぶ
・口に歯ブラシをくわえたままテレビを見たり遊んだりしない
・仕上げ磨き中は、頭をしっかり支えて行う

保護者が一瞬でも目を離すと、予想しない動きで事故が起こることがあります。

【もし事故が起こってしまったら】
万が一、歯ブラシが喉に当たったり刺さったりした場合、
自己判断せず以下の対応を行いましょう。

・血が出ていなくても、喉の違和感・声の変化・飲み込みづらさがある場合はすぐに受診
・出血が見られる場合は無理に口を開かせず、安静にして耳鼻科または救急へ
・異物が喉に詰まった疑いがある場合は、救急車の要請を最優先

「痛がっていないから大丈夫」ではなく、
「何かあったかもしれない」と思ったら早めの受診が安心です。

【まとめ】
身近な道具だからこそ、事故のリスクを見過ごしがちなのが歯ブラシです。
お口の健康を守るための歯みがきが、命に関わる事故になってしまわないよう、
環境と習慣を見直していきましょう。

1.歯みがき中は座って、動かないように
2.保護者はしっかり見守る
3.違和感があるときは迷わず受診

次回は、「喉や歯ぐきに魚の骨が刺さった場合」について予定しています。
家庭内のちょっとした油断が事故を生む前に、正しい知識で備えていきましょう。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

保険診療から先進的な自由診療まで幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症の治療に県内外から多くの患者様が通院しております。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

口腔機能の発達から子どもの健やかな成長を支える歯科医師

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ愛知
  3. 愛知の医療・病院
  4. 愛知の歯科治療・口腔外科
  5. 荒川大輔
  6. コラム一覧
  7. もしも!お口のケガ百科⑤「まさかの危険がすぐそこに!歯ブラシの喉つき事故」

荒川大輔プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼