もしも!お口のケガ百科⑤「まさかの危険がすぐそこに!歯ブラシの喉つき事故」
こんにちは。
名古屋市港区にあります、オリーブ歯科こども歯科クリニックです。
転んだときにぶつけた歯や、幼い頃に強く打った口。
時間が経つにつれて痛みも消え、
見た目も元に戻ったように見えると、
「もう大丈夫」と思ってしまいがちです。
しかし、歯の外傷は受傷直後だけでなく、
数ヶ月〜数年後に後遺症として現れることがあるのです。
今回は、気づきにくい“時間差で起こる外傷の影響”についてご紹介します。
【よくある「遅れて出る症状」】
歯の外傷後に注意しておきたい、よくある後遺症は以下の通りです。
・歯の色が暗く変色してくる(神経の壊死や血液沈着)
・根の先に膿がたまる(根尖病変)
・歯の根が吸収されて短くなる(歯根吸収)
・乳歯の外傷が、後から生えてくる永久歯に影響を及ぼす
受傷から半年〜数年経って現れることもあり、
「昔のケガと関係がある」と気づかれないまま悪化してしまうケースもあります。
【歯根吸収とは?】
「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」とは、
歯の根っこ(歯根)が体に吸収されて徐々に短くなってしまう状態です。
・強い打撲や脱臼によって、歯根膜や骨に炎症が起こる
・炎症反応が続くと、根が溶けてしまうことがある
・痛みを伴わず進行し、気づいた時には抜歯が必要なことも
特に成長期の子どもに多く、レントゲンで定期的に確認することが大切です。
【乳歯のケガが永久歯に与える影響】
乳歯をぶつけた経験がある子どもは、
将来生えてくる永久歯に以下のような影響が出る場合があります。
・変色した状態で生えてくる
・歯の形が一部欠けている
・エナメル質がうまく形成されない(エナメル質形成不全)
・まっすぐに生えてこない
乳歯の外傷を「そのうち抜けるから」と軽視せず、
永久歯への影響を念頭に入れて経過観察することが大切です。
【こんなときはすぐに受診を】
以下のような症状が見られた場合は、
外傷による後遺症が疑われます。
・ぶつけた歯の色が時間とともに暗くなってきた
・歯ぐきの上に小さな膿のふくらみができた
・歯が揺れ始めた/位置がずれてきた
・レントゲンで根が短くなっていると言われた
・永久歯の色・形に異常があると指摘された
一見すると虫歯や歯周病のような症状に見えることもあるため、
「昔ケガをした歯かどうか」を思い出して伝えることが診断のヒントになります。
【まとめ】
歯の外傷は、目に見えるケガが治ったあとも、
数年後に静かに悪影響を及ぼすことがあります。
とくに成長期の子どもは、骨や歯の成長に影響が出るため、
長期的な視点で見守ることが必要です。
1.受傷後も定期的なレントゲンチェックを
2.変色や違和感は「昔のケガ」を思い出して伝える
3.症状がなくても、年に一度は歯科で経過観察を
次回は、「歯ブラシの喉つき事故」について。
日常生活でできる工夫をお届けします。
シリーズで学びながら、お口の健康を長く守っていきましょう。



