誤嚥性肺炎は静かに進行する

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:院長の独り言

こんにちわ。
名古屋市港区にありますオリーブ歯科こども歯科クリニックです。

日本人の死因統計において、1位は『悪性新生物(がん)』、2位は『心疾患』、3位は『老衰』とされていますが、実際の医療現場では【統計には表れにくい“見えないリスク”】が存在します。
それが、私たちが強く警鐘を鳴らしたい病気――
『誤嚥性肺炎』です。

「最近むせやすくなった」「咳が続いているけど、風邪かと思っている」
こうした何気ない変化の陰に、【静かに進行する誤嚥性肺炎】が隠れていることは決して少なくありません。

誤嚥性肺炎とは、本来であれば食道に入るはずの食べ物や唾液、胃液、細菌が気道に入ってしまい、肺が炎症を起こす病気です。
とくに高齢者では、飲み込む力や咳き込む力が衰えているため、ほとんど自覚症状がないまま重症化してしまうリスクが高まります。

実際に高齢者の肺炎の7〜8割はこの誤嚥性肺炎とも言われています。しかしながら、統計上は「肺炎」と一括されてしまい、その実態が見えにくくなっています。

また、誤嚥性肺炎は一度治療しても再発しやすく、繰り返し発症を繰り返すことで、食事をやめる、寝たきりになる、命を縮めるといった悪循環に陥ることも珍しくありません。

特に重要なのは、本人よりも周囲が気づくことです。
初期の誤嚥は軽微な咳や声のかすれとして現れるため、当事者は「大したことはない」と感じてしまいがちです。しかし、次のような変化が見られたら、それは誤嚥のサインかもしれません。

『食後に咳き込むことが増えた』
『水やお茶でむせやすくなった』
『食事のスピードが遅くなった、食事中に疲れる』
『声がガラガラしている、のどに痰が絡む』
『食後に発熱や倦怠感が出る』

介護をされている方は、ぜひこうした“なんとなく気になる”変化を見逃さず、早めにご相談いただきたいと思います。

当院では、こうしたリスクに早くから着目し、地域に先んじて、口腔機能低下症の検査・リハビリ指導を保険適用にて行っています。
舌圧や嚥下反射の評価、発声練習や食事時の姿勢・呼吸のアドバイスなど、個別の状況に応じて指導を行っています。

実際にリハビリを継続された患者さまからは、

「むせる回数が減って、安心して食事ができるようになった」
「飲み込みに時間がかからなくなり、ご飯がおいしく感じられるようになった」
「声が通るようになって、人と話すのが楽しくなった」

といったお声を多数いただいています。

当院が掲げる理念は【歯科医療は、患者さまの人生を幸せにするための手段であるべき】という信念です。
それは単に虫歯や歯並びだけを見るのではなく、【“食べる・話す・生きる”ことを支える医療】であるべきだという思いでもあります。

誤嚥性肺炎は、早期に気づき、適切な対応をすれば予防可能な病気です。
介護をされる方、ご家族を支える方こそ、ほんの少しの違和感を「見逃さない力」が、大切な命を守ります。

ご不安があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

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荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

保険診療から先進的な自由診療まで幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症の治療に県内外から多くの患者様が通院しております。

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